生贄
Tsu-Yo

あるいは、青春とは生贄のようなもの
だったのかもしれない
私たちが、終わりの終わりまで
上手に歩いていくために捧げた
血なまぐさい生贄
それが美しいものだったなんて嘘を
眉一つ動かさずにつけるようになるころ
人々は互いに良く似た顔をしている

私の友人のひとりは
生贄の差し出し方を知らなかった
いつでも重たい岩のようなものを抱え
苦悶の表情を浮かべ歩き続けた
今も棺桶の中で彼は
そんな顔をしたままでいる
生贄を差し出すことを知らなかった者は
自ら、世界の生贄になるしかない
ということを私は知らなかった



未詩・独白 生贄 Copyright Tsu-Yo 2007-08-27 01:25:56
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