「雨細工の町」
AB(なかほど)

  

土の匂いがしてくると
どこか懐かしい気持ちになり
ああ
もうすぐ落ちてくるんだろうな
と思いつつ
風邪をひきやすかったことも忘れ
濡れようか
どうしようか
結局
しっとりとするころに
石の階段を登って帰る
やがて音に変わると 
胸が痛くなることも
その都度に忘れて
濡れたくなくて
という事でもないのに
ざあ
という音には
いたたまれなくなって
走る


ざあ


こんなふうに
いつまで経っても
不器用です


ざあ




雨ばかりの似合う
この町も
不器用ですが
とても綺麗です


ざあ






    

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自由詩 「雨細工の町」 Copyright AB(なかほど) 2004-05-27 15:09:47
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