肺をみたす(水葬)
アオゾラ誤爆


水中ではうたもうたえない
だけど泣いたってわからない
ささやかなゆれはわたしの体温になって

さかなたちの集うよるがくれば
ふやけた指先からあふれていく
あらゆる目線の延長上には
おなじだけの朝をまつ手段がうかんでいる



手にとれるおもさの限界で
ひろいきれなかったきみの成分は
ゆったりとした波の中で
つぎ足すことのできない、ゆいいつの幸せのかたち



さみしいと口にすれば
心臓はうごくのをやめて
この柔らかなくちびるからは
生ぬるい海水が浸入はいりこむ


だまったまま水底に沈んだら
ひかりもやみもとおくなって
だれかの声がこだまする




ねえ、きみ


息継ぎのやりかたを
ずっとおしえてくれなかった






自由詩 肺をみたす(水葬) Copyright アオゾラ誤爆 2007-08-17 22:42:33
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