いつかの値
ドロップ



 どうしようもなく不自由で
 どうしようもなく縋るものに縋って
 どうしようもなく飢えていて
 どうしようもなく自分を殺してきた


(絶対的な値が欲しいと努力した、誰もが認める値が欲しいと飢えていた、どんなにどんなに手に入れても終わることの無い飢えに押し潰された。気付いていた、俺が欲しいのはこんなじゃないと否定したかった、でも、いままで信じてきた値を手放すのが怖くてそれも出来なかった。)


 怖いんだ捨てるのが
 怖いんだ上手く行くのか
 怖いんだ後悔するのが
 怖いんだ間違わないか


(ああ、ああ、いつかいつか、テストの点とか成績とか給料とか財産とか本当には望まなかった望みの値を、殴り捨てられるだろうか。ここまで値に縋って生きてきておきながら、今更何を、と、見捨てられないだろうか。)


 どうか
 どうか一滴だけの勇気を願って



未詩・独白 いつかの値 Copyright ドロップ 2007-08-06 11:14:51
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