あんず飴
ゆうと


透明な温度を下げていく
あなたのぬくもり
かすかな光が胸をさす
氷のようなつめたさで

肌が焦げていく
においが鼻につく
電車の中では冷房が
滝のように流れている

さらさらと風鈴がゆれる
夕暮れを知らせる蜩が
かなしげに鳴くのは、そう
あなたとの出会いを
歓迎していないから

すももに水あめを巻きつけたものが
あんず飴と呼ぶなんて
おかしいと思いながら
甘酸っぱさを噛み締める

涼しくなった夜の風
あなたとわたしを巻き込んでいく
たぶん今日は帰れない
帰らない、のかもしれない


あんず飴でべたべたになった
わたしの手をあなたは握った





自由詩 あんず飴 Copyright ゆうと 2007-08-04 23:05:47
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