オーロラを見に旅に出る彼女は -- goodluck goodlove goodbye -- 第一項
じゃんじゃっく



彼女が旅に出る理由なんて
僕は知らない
仕事に疲れたのかもしれないし
気分転換をしたかったのかもしれない
それとも
ただオーロラを見たかっただけなのかもしれない
僕には計り知れない何かが
彼女を突き動かしていたのかもしれない
僕はただ 遠い北欧の空に旅立った
彼女を深く思うだけだ
僕に出来ることは
彼女の旅の幸せを祈ること位だ
グッドラック。


上海から香港へ流れた彼だって
今じゃ何してるのやら
いつも約束してはキャンセルを繰り返す奴に
呆れ怒りはしていても何か憎めなかった
忘れていた頃にふらりと連絡を寄越し
またふらりと去っていく
そういう奴だった
今はどこでまた約束をキャンセルしているだろうか
僕はひどく彼の無事を思うだけだ
グッドラック。


京都から東京に流れてきた僕は
今でもこうやって
言葉を刻んで暮らしている
睡眠を削って
魂も削って (それは嘘だ)
頭痛を抱えながら
こうやって何かを記している

それはまるで墓標のようで
僕が死んだときには
何か刻んでやって欲しい
いやそれも嘘だ
墓なんて要らないし
欲しいと思ったことさえない

ただ
そういうやつがいたなと思い出して欲しい
僕の言葉の一つでも想ってくれれば
それで事足りる
十分だろう


画家なら絵を残すだろう
音楽家なら曲を残すだろう
神なら世界を残すだろう
生まれてきたならば
この長い歴史に足跡を残すだろう
でもそれは大きく立派な足跡じゃなくても
誰にも知られないような
雨に流されほとんど見えないような
足跡になっても
僕らは歩きつづけるだろう


足跡を残すことが目的なのだろうか
足跡を辿って何を感じるか
そこから何が生まれるか
誰にもわからない
だから何も残さないかも知れない
足跡さえ残さず
君の部屋に入りこみ
心の中をずたずたに引き裂いて
さようならだ
僕のシルシをつけよう
僕の傷をつけよう
ほらもう忘れない
これで

形に残らない何かを探してる
心に残る何かを探してる

君の中に
君の中に何かを探しているのさ
君の中に何かを刻み付けたいのさ

形に残らない何かを探してる
心に残る何かを探してる
そんな特別な何かを探している

君の中にそんな何かを見ている
僕の中にそんな何かを求めている

探し続けて
求め続けて

君は長い旅に出る 今
僕の想う度に出る 息

そうか
それで僕らは旅に出るんだ
グッドラック。
グッドバイ。


いつか君の中に
オーロラを見たかったな
いつか君と一緒に
オ−ロラを見たかったな
グッドラヴ。

いつか君と一緒に
笑い合いたかったな
グッドラフ。


それで僕らは旅に出るんだ
グッドラック。
グッドバイ。









自由詩 オーロラを見に旅に出る彼女は -- goodluck goodlove goodbye -- 第一項 Copyright じゃんじゃっく 2007-08-03 02:47:18
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