鼻血で妄想の回 ービタミンC不足ー
そらいろ☆コゾウ

どうしよう。鼻血が止まらない。



寝ていたら鼻血が出てきた。朝5時のことだ。



確か、そう確か寝たのが午前3時過ぎだった。

だから多く見積もっても2時間しか寝てない。

熱が引かないので保冷剤を頭に巻いてねたというのにのぼせたのか鼻頭が熱い。

体もいまだ熱を帯びている。



洗面器に顔をうつぶせにし、保冷剤で頭と首筋を冷やす。

伸びた髪の毛が落ちてきて、血がついてしまった。

血がひたすら流れているせいか、相変わらずのぼせているせいか

頭が朦朧として全てが面倒だ。

規則的に流れ落ちる血をぼんやり眺める。



保冷剤がぐにゃぐにゃになると新しいのを冷蔵庫から取り出してあてる。

3つ目の保冷剤を額にあてながら、気づく。

「あぁ、もう、7時だ。」

そういえば、カーテンの隙間から爽やかな朝の光が差し込んでいる。

今日はとても夏らしい日になりそうだなぁ。関係ないけれども。



ただ、鼻から血が流れているだけなのに異常に疲れる。

少し収まってきたからティッシュで鼻を押さえて寝てしまおう。

血が口に回ってこないように鼻を下にして横になる。



こんなに血が止まらないのは、ひさしぶりだ。

鼻血の出しすぎで死ねそう。

白血病ってのはこんな感じなのかね?

セカチューの長澤まさみを思い出す。

髪の毛なくなるのは嫌だなぁ。せっかく遺伝的にハゲにならないのに。



もし半年の命です。って言われたら何をしようか。

何も思いつかないな。

半年で何ができるんだよ。



新しい星を発見して自分の名前付けたり

新しい品種のバラを開発したりしたいなぁ



無理だけど。



ベタにドキュメンタリーとったりしようか。でもカメラが壊滅的に下手だから写真を撮ろうか。

何を撮ろうか。

撮ってどうするんだろう。

死ぬ前に見直して懐かしんで、全部削除してしまおう。



あ、ストリートミュージシャンになろう。

ギター弾けないな。曲作れないな。

全く聴いてくれる人が出なかったら

死ぬ前に辛い思いが増えるだけだな。



そうだ一度会ってみたい人とか友達とかに会いに行こう

会って何喋ろうかな

喋ることないな。

これから死ぬんだ、とか反応に困る事は言えないな。

いつまでたっても死ななかったらダサいな。



第一体力が消耗されてしまうから大した事はできないな。



あぁ、不毛だ。



結局収穫といえば

今死ぬと言われても何もすること無くて死ぬまでの時間を無駄にするって事と

親孝行できずじまい



ってことだけだ。



こういう時に限ってチャイムが鳴るので

鼻血をドバドバ出しながら宅配物を受け取る。



実家から送られてきた野菜を片しながら

親孝行ってのは生きてるうちにしか出来ないな、お互い。なんて当たり前のことを思った。



鼻血が止んでも世界がグルグル回るので

一日グルグル寝続けた。

天気が良いのにイラだって、洗濯すればよかったとグルグル悔やんだ。

頭も体もグルグルしてきて

グルグルしてきて



送られてきたプラムを食べたら

血みたいな赤いプラムを食べたら

甘かった。



散文(批評随筆小説等) 鼻血で妄想の回 ービタミンC不足ー Copyright そらいろ☆コゾウ 2007-07-26 03:39:37
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