ふれんど
hiro

金魚鉢のなかで
金魚が白い腹を上にして
浮いている
連日の暑さで
死んだのだろう
食べるための魚は
何とも思わないが
観賞用の魚が死ぬと
なぜか心が痛む
時間があれば
金魚の葬式を盛大に
行いたいところだけど
今そんな余裕はない

昨夜乾燥機に入れた嫉妬を
胸にしまいこみ 
部屋の目立つところに掲げられた
時計を見ないように外に出た
待ち合わせ場所に急がねば
充電した友情が入った筒を
肩から斜めにかけ
自転車に乗った

世界中で今日
何匹の魚が死んだのだろうと
思いふけってると
前から来たトレーラーに
轢かれそうになった

篤い雲の空の下
ラフな服装で
街路樹の横にあるブロック塀に
腰掛けた女を
刺激しないように近づき

ごめん待った?
と尋ねると
怪訝そうに
今来たとこと
付かなくてもよい
嘘を付いた

ほら、持ってきてやったぞと
嫉妬と友情を見せると
まだ少し湿ってるし
充電も満タンじゃないよと言われ
元カノに未練があるのがばれた
別れる前に行った祭りで
すくった金魚が亡くなった話をすると
金魚の葬式に勝ってもね
と笑い出した
トレーラに轢かれそうになった話をすると
あんたは簡単には死なないと言ってくれた
それは正直よくわからなかった


自由詩 ふれんど Copyright hiro 2007-07-20 19:20:58
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