仲直り
yoshi

試しにね

目を瞑ってみたの

取り乱したり

泣き喚いたりは

絶対にしたくなかったから

あの人の言う事

ちっとも意味が分からなかったけれど

全部が言い訳に聞こえたけれど

取り乱したり

泣き喚いたりせずに

目を瞑って

息を整えて

両手をあの人の膝の上に置いてみた


体温が伝わってね

興奮しているあの人の膝は

思った以上に暖かくて

そしたらね

気付いたら

あの人の頬を両手で包んでた


ほっとしたような

拍子抜けしたような表情がこぼれて

そしたら少し

私の気持ちも落ち着いてきて

涙が一粒こぼれたの


あの人はただただ言い訳がましく

言葉を並べ立てては

私の顔色を伺ってた


こんなヤツって思った

こんなヤツって思ったけれど


包んだ頬は

私の手のひらに奇妙になじんで

あの人の体温は

すぐに私の体温と同化した


包み込むことが出来るのは

私だけなのかもしれないって

また少し勘違いをして

私達は仲直りのキスをした


自由詩 仲直り Copyright yoshi 2007-07-18 00:24:02縦
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