ア○ゾンでパルプ詩集を売ろう!!
リーフレイン


◆詩集は目につかない?
 あたしなんざこの年になるまでほとんど詩なんぞ読んだことはなかったわけですが、その理由の最たるものは、「詩集は簡単には手に入らない」これにつきたように思います。
まず書店にわずかにあるハードカバー本。 高いです。非常に高いです。しかもなんか作家さん限られています。そして行間が広いです。なぜあのすかすかした文字列があんなに高いのだ!と怒りすら覚えます。 次に書店にある詩人毎にまとめた詩集。専門店までいかないと手にはいらないけれども、あれは好きです。ただし、あまりにもまとめてしまってあるために本としての醍醐味が薄れています。遊び部分がなくなっちゃってるんですね、挿絵の一つも入ってない文字列勝負。文庫本になった詩集あります。良いできです。我が家の本棚には10冊ほどの文庫本詩集が納まっています。だけれどここで問題が、文庫本にしていただけるのは相当有名な詩人さんばかりで、新しい詩人さんの詩集なんぞどこからどこまで見たことがないのです。漫画は毎日のように書店に並ぶのに詩集はいつまで待っても書店には並ばない。新しい詩人さんはいったいいずこへ?

◆WEBにはあるぞ!
 と探しまわれば、さすがにWEB上にはばっちり! Gフォーラムやら文学何某やら、某巨大匿名掲示板やら、SNS内のコミュやら、百花繚乱。個人ブログまで手を出せばそれこそ著作権なんぞどこ吹く風?と言わんばかりに読み放題、取り放題。 ははは、溺れてしまいそうですわ。この膨大な量の詩の海に。

◆でも本がいいのよおお
 やっぱり本がいいんですよ、本が。本になってるっつとかなり厳選してあるじゃあないですか。一冊の本全体で伝わってくるものがあるんですよ、たった一つの、詩の想いだけじゃあなくてね。インクのにおいや紙の手触り、ページ全体のレイアウト、イラスト、フォント、写真、表紙、いやもうやっぱ本です。あたしは本フェチなんです。

◆あるある だけど・・・・・・
 探しました、ありました。アマゾン検索でばっちりと、ざくざくと宝の山の如く有名出版やら私家版やら、自費出版社版まで、満天の星の如く並んでおります。が、しかし高いじゃありませんか。しかも、試し読みができない!書店置きじゃあないからめくらうちです。1800円から2000円相当をめくらうちで買う? 無理です。無理!はっきり申しましょう、駄作も多いのです。どれでもいいわけじゃあないのよ。文庫本詩集に集められた詩人さんの本と同じレベルの感動が欲しい、そう金銭価値とはそういうものです。

◆ふふふ、蛇の道は蛇で、
同人誌なるものがございます。だんだんとはまり込んでいく自分の姿にも気付かずに、手に入れました、数十冊。価格は300円から1000円!わりと安い!ただし、発行者殿にお問い合わせをしませんと手に入らない。これはしんどい。送料かかります。しかも、やっぱり試し読みはできないのです。書店置きじゃあないので。(涙)

◆読み手と書き手の関係
 ハタと気がつきました。この入手困難な状況こそ、読み手と書き手の相互作用をシャッタアウトして、詩文化が育ちにくい悪循環を作りあげてるのです。世界に冠たる漫画文化の日本、漫画流通過程をちょっと比較してみましょう。毎月数十冊の週間、月間漫画雑誌が出ます。厳しい編集者の眼で厳選された漫画家諸子はさらに厳しい読者の眼の中でその技能を磨かれ、なお人気のある漫画が単行本となり、さらに人気のある漫画が映画へ、小説へ、アニメへ、テレビドラマへと流れていきます。2重3重に競争の眼にさらされてむちゃむちゃ面白いものが残っていく。そして、それに応えるように、部数も発表機会も増え、頂点に立つ人気漫画家は努力に十分に見合う報酬がゲットできるのです。(ピラミッドの底辺にいる作家についちゃあ、どこの世界も一緒だなというだけに留めておきましょう。)さて、じゃあひるがえって詩は?まあ、儲かんないのはこのさい目をつぶりましょう。もっと大事な読者の赤裸々な眼は一体どこにあるのでしょうか?ないんですよ、ほんっとにないんですよ。編集の眼と、詩誌なんかの批評の眼は入るんですが読者の眼はないんですよ、、、お金だすときの消費者の厳しい選択眼がどっこにもはいんないんですよ。詩集できちゃうまで。 これってすっごい状況です。

◆出版社?
 さてはて、本で安く、しかも良質な、新しい詩が読みたいというわがままな読者の希望をかなえるために、はたして、出版社にそういう企画をしていただけるか?と問えばたぶん無理です。出版コストに合わない。つまり流通コストと制作コストに見合うだけの購買層は今ないのです。 現在たとえば詩の賞をとるような詩人さんの本ですら数100部の発行がメインです。でしかも、本人買取分という負担が発生している場合が多い。自費出版にいたっては、100万相当の本人負担の上、本は出版社のもので、しかも書店置きはほとんどなし、なんていうお寒い状況しか対応できない。つまり出版社レベルからいえば、詩集とは「儲からない赤字商品で、文化価値として仕方なく続けるけれど、そういうわけだから本人さんもリスク負担してね。」 という部門なわけです。一冊の本の流通コストは装丁が高かろうと安かろうと同じくかかるわけだから、しっかりしたハードカバーを作っておいて本人さんからのリターンを多めにとるほうが多少とも商売になる。と詩人さん相手に商売をしている気もしないでもない・・・・・・。

◆DO IT YOURSELF
 どうせ儲からないんですから、自分でやりましょうよ。 出版社に頼らないで。自分でコスト計算して赤字も自分でしょい込みましょう。それでももしかしたら、多少とも読者さんに読んでいただけるかもしれないです。

◆レシピ
1、本当は書店置きがベストなんです。でもそれは無理だから、WEBで本全部立ち読み可能にしましょう。立ち読みなしの本は買わないんですよ。あたしは気にいれば全部読んでも買います。よしんば、全部読んだら買わないって人がいてもいいじゃあないですか、その人は読んでくれたんだからさ。
2、アマゾンで買えるようにしましょう。
1500円以上まとめれば送料無料ですよね。検索にもひっかかります。委託の年会費は9000円です。
3、アマゾンで扱ってもらうにはISBNいります、つけましょう。
100冊分まとめてとって4万円見当です。(数人でわけあってリスクを持ち合って。)ISBNのめんどうなところは、3年ごとに管理料を払わないといけないんですが、まあ10年分ぐらいは覚悟して(3年ごとに4200円です)
4、薄くていいです。詩なんざおなかいっぱい食べるもんじゃあない。20pぐらい。
5、安く作りましょう。遊び心は満載で。
詩って、総合芸術です。一冊の本は一つの美術品になります。むろんお金をかければかけるほどいいものが作りやすいんですが、そこをぐっとこらえて、安価に。コーヒー一杯分で買えるぐらいに。漫画の本一冊買うかわりにパルプ詩集を買いましょって思うぐらいに。一冊の漫画を読むよりも大きな価値をそこに込められるように頑張って作ろうじゃありませんか!(かなりしんどいかもw)
6、現状、30冊も売れれば御の字程度の市場でしかないんです、詩集って。だから、はじめっからその辺みこんで50−100部あたりの印刷に抑え込む。20部ぐらい知り合いに配って、20部ぐらいコミケで売って、ぐらいに計算。さて、同人誌印刷なら、これ15000円あたりで印刷できちゃうんです。ISBNの負担とアマゾン負担見込んでも、初期費用3万円也(4,5人集まってね) 「まあお安い」でしょ?ね。
7、利益は期待できません。
そう、アマゾンの年会費9000円だけでもクリアするのに一体どれだけ売ればいいのか?
アマゾンの仕入れ掛け値は40%です。つまり300円の冊子定価売りとして、120円がアマゾンの取り分、180円が会員の取り分です。つまり年間の委託費と最初の委託品送料をクリアするには実に70冊近くの売り上げが1年になければペイしません。その上、印刷費用までクリアしようとすると。あははは、無理ですよ。最初の100部をたったの1年間で完売できても赤字なんです、この構造。 別の計算してみましょうか、原価一冊あたり150円の冊子をアマゾン売りで180円バックです、一冊あたり30円の利益ですね。この30円で年会費9000円をペイしようとすると、実に1年間で300冊を売り切らないといけません。だから利益だそうと思う人は手だしちゃあだめです。はい。広告費をかけてると思ってください。 年間千冊ぐらい売れるようになったら利益の話ができるかも(夢のまた夢、いやいつかはきっと、はあああ。。。)

◆読者が欲しいよお
 読者を開拓すること。これは、いい詩を書くっていうのと同じぐらい重要なんだと思うんです。反応が作品のブラッシュアップにつながるわけですから。
販売する冊子を販売総数でグラフ化。人気のあるなしを評価。次の冊子の印刷部数を決定。この積み重ねが読者と書き手を作りあげていきます。 作り上げるはずです。めざすは1万部パルプ詩人です!



あああ、夢のようなお話を書いてしまいました。 でもかなり本気。



散文(批評随筆小説等) ア○ゾンでパルプ詩集を売ろう!! Copyright リーフレイン 2007-07-04 19:49:23
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