冷たい春
ロリータ℃。



透明な青い海を
濡れるのも構わず私はかきわけた
海の先には 知らぬ土地があるのだろう
無力な私でも
行きたいと願う夢だけは与えられた


あなたはそんな私を無様だ、と、笑っていたね
唇にセブンスターをくわえながら
嘲笑して私の首を絞めた



誂えた黒いシャツは
濡れて乱れて無様な布になる
今日はとても風が強くて温かいから
問題はないのだ
私は水面の上でゆがむあなたの顔を見た
そんなに必死な顔をしていたら
綺麗な顔が台無しなのに。


セブンスターはいつの間にか流れていた
逃げ出せなかった私はせき込む
これで少しは
変われたかな
あなたは私を抱き締めた
息もできないほどのさみしさで。


(いつの間に空、こんなに青い)


あなたの手首に刻まれた模様は
私の背にも刻まれていて
同じ香りをつけていても
香りは少し違っていて
全てはこんなにも 違かった
一つになって
互いを共有したかった
ならば離れられないのに
私、あなたの心臓になりたい
一番強くて
一番温かな
私、あなたを守りたかった


(私たち、寄り添っても一人ぽっち。)



呟いたら嗚呼と言ってあなたは泣いた。





自由詩 冷たい春 Copyright ロリータ℃。 2007-06-27 13:17:10
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