かめのヘンリー
weed & sky

亀を飼うようになってから
やたら「かめ」という文字が
目について
木村カメラ店の「カメ」だけが
クローズアップされて見えたり
喫茶かもめを「かめ」と
読み間違えたり
脳の老化もあいまって
そんなことばかりなのだが
図書館でも亀の出てくる絵本を
ついつい借りてきてしまう
その中でもお気に入りなのは
「かめのヘンリー」という絵本で
最初表紙を見たときは
そんなにたいしたこともないのかと
思ったりしたのだが
図書館の児童図書コーナーの
そこここに置いてある
あれは何というのかな
スツールかな
輪切りの丸太みたいなやつなのだが
それの1つに腰かけて
読み始めたのだった
それはヘンリーという
亀のぬいぐるみのお話で
ちよみちゃんという女の子の
お気に入りなのだが
毎日毎日遊んでいれば
どんどんどんどん汚れるわけで
ちよみちゃんが病気になった時に
汚れたぬいぐるみは病気によくない
みたいなことになってしまい
お母さんが洗ってくれるまでということで
物置に放り込まれてしまうのだった
早く洗ってやれよと思うわけだが
お母さんというのは
私も含めてけっこう忙しいので
ついついぬいぐるみの洗濯は
後回しになっていくのだった
しかしちよみちゃんがヘンリーに
会いたがっているということで
ちよみちゃんの弟だったかの
お気に入りのぬいぐるみの熊が
親切なことに
物置にいるヘンリーのところまで
それを伝えにやってくるのだ
ヘンリーは生まれて初めてというか
作られてから初めて
自分の足で歩いて風呂場まで行き
風呂掃除用のかたいブラシに
せっけんをつけて
自分のからだをゴシゴシ洗い
ゆすごうとして湯ぶねに落ちて
そのまま気を失ってしまうのだった
このあたりで私は号泣
図書館の児童図書コーナーの
スツールに腰かけ
号泣する52歳
大丈夫か私
今週もまた借りてこよう
きょうは雨降り
ちょっと泣きたい気分だからな


未詩・独白 かめのヘンリー Copyright weed & sky 2007-06-24 15:24:37
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