無能な自分
ぽえむ君

隣の席で
難解な数学の問題を
すらすらと解く彼が嫌いだった
無能な自分を見ていた
何でこんな複雑なものを
考え込むことなしに
さばいて見せるのだろう
その姿勢がどこか傲慢で
さらに彼を嫌いにした

彼が一問解き終えたところで
頭いいね
半分は嫌味で言った

そうでもないさ
冷たい返事に思えた

君の方がずっと難しいことを
考えているからだよ
ぼくは君が考えていることよりも
ずっと簡単なことしか考えられない

できないことを考えたり
やってのけようと思ったって
できないことはできないよ
誰もができる簡単なことを
やり続ければいいだけさ

大切なのは
常に自分ができない人間であると
自覚することだね

自分が否定したくないことを
否定された自分は
彼の隣の席にいることが
とても狭く感じた


自由詩 無能な自分 Copyright ぽえむ君 2007-06-24 10:52:22
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