ペチカ
嘉村奈緒


秋のあいだ
ひとり山に引きこもって
ギンナンギンナンって踊っています
つま先で立って
小さい冠をかぶって
麗しの八合目で
姫です



真っ赤に猛る裾を尻目に
ギンナンギンナン
王子様の膨らみに巻き込まれる
せっかちなのです
あの合唱隊めも
私も敬語で
染められていきます



頂上で
飾り細工の施された執事のベルが
もうすぐ鳴ります



未詩・独白 ペチカ Copyright 嘉村奈緒 2004-05-13 03:50:11
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