昔のような過去
秋也

昔みた父の背中
自転車の後ろに乗っかってたから
暑いだろうに
一生懸命漕いで
汗流して
みせてくれた
工事現場
重機が好きだった
シャベルカー
ダンプ
あんなに大きくて
昔はキラキラしていた
自分も金網に張付いてキラキラした目で飽きるまで眺めていた
あんなに一生懸命連れてきてくれた父のことなどまったく忘れて
大好きだった
工事現場も
父が漕ぐ自転車の後ろも
幼いころ
毎晩
ぬいぐるみを並べて
ぬいぐるみを抱いて
寝ていた
寝るまで
母の隣で
ぬいぐるみ使って
話かけた
疲れているだろうに
だからよく
優しく諭された
「もう寝なさい」
安心して寝れた
だって起きれば隣に母がいて
今日も一人ぼっちじゃない
過去
食事を受けつけなかった自分がいる
食べることが嫌だった
時間ぎりぎりまで
公園で一緒に散歩してくれた祖母
いつもにこにこして
賞味期限切れたお菓子持っていって
お菓子砕いて
鳩に餌やった
楽しかった
「鳩もご飯食べたから、みっちゃんも食べよ」
嫌だけど
だからテーブルにつけた
祖母は僕らのために
いつも
出かけたらケーキを買ってきてくれた
少しでも食べれるようにと
おいしかった
何がどうこう言う前に
あの頃のケーキ美味しかった
今も昔も
いつでも兄は頭がよかった
それですごく優しかった
喧嘩しても
殴られた記憶がない
いつも自分の先行って
でも待っていてくれて
手引っ張てくれて
二人でたくさん遊んだ
あんなに近くで遊んだ人はいない
過去の共有
両親の共有
「お兄ちゃんが先」
よく母が教えてくれたこと
今なら納得できる
お兄ちゃんはいつも先にいるし
先にいたのだから
過去いろいろあった
そして自分は現在を生きている
彼らには返せない感謝だから
もらった愛情
忘れずに
自分なりに育んで
次の誰かに渡したいと思う
子供の頃
死ぬのが怖くなって
夜中に泣きだした
落ち着いたら母が
「みんな順番」って教えてくれた
一緒に散歩してくれた祖母が亡くなったのは
もう過去のこと
しゃべらなかった
自分も泣かなかった
棺に花を入れる時
自分から泣いた
次に兄
父と母はその前に泣いていた
亡くなることはこんなに悲しいということを堂々と優しく教えてくれた祖母
「みっちゃんもご飯食べよ」
あれから聞いていない
これからも聞けない
それが普通だから
自分、ご飯食べてるよ
生きているから
まだまだ生きるから
それで
そろそろだれかに渡したい
温かいの渡せるといいな
みんな順番
だから
今日はもう寝よう
自分、泣きやんだ
あの時も
今も
これからだって


散文(批評随筆小説等) 昔のような過去 Copyright 秋也 2007-05-29 02:00:15
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