空想現実 夢
かえで

そろそろ外に出ようかな
引きこもりではないけれど
柔らかな日差しに触れたいのだけれどね
ちょっと怖いのよ
ビルの上のあの秘密基地から飛びたくなってしまいそうで

---------

外に出たら何をしようか
まず手を繋ごう
なんていうか、ぎゅっと握ってやるよ
パン屋さんでお前の好きなパンを一緒に買おう
そしたらお前のうつろな目は少しは微笑むかな
海にも行きたいね
なぁアリス
たまにはあの田舎道を足が棒になるまで歩いてみようぜ
それで砂浜で少し休もうか
魚の死骸がこの前あったんだ
まだあるかもしれない
お前が見たらどんな顔するかな

海より近くの公園に行きたいわ
ベンチに座ってパンを分け合いましょう
貴方はいつもはいている擦り切れたジーンズにTシャツ
私はあの白いスカートをはこうかな
似合うかしら?
私、貴方のあのジーンズが好きなの
捨てちゃうなんて絶対ダメよ
貴方にしか似合わないものなのだから

---------

お日様ってあたたかいわ
そうだな
さっきまで私は何故おびえていたのかしら
君の気持ちのせいだよ 気にすることない
私このままずっとここにいてもいいわ 貴方とずっとここにいるの
それはダメだよ それじゃあ夕飯の支度は誰がやるんだ?

「私、貴方のこと好きよ誰よりも」

・・・・夕方になったらこのまま浜辺を歩きましょう
私、貝殻をひろうの
綺麗なものみつかるかしら
見つかったら貴方に一番のをあげるわ

--------

声が届いていますか
声が届いていますか
貴方はどこにいますか
やっぱりこれは夢なのね
貴方との馴れ初めかしら
思い出?
なに なに なに なに
教えてくれる?

----------

ねぇ夢を見たの
こんなの久しぶり
貴方に似ている人と沢山外を歩いていたわ
きっと貴方だと思うわ
だってすごく仲が良さそうだったもの
貴方は昼からビールなんて飲んじゃっているの
いつかの私たちみたいだった
食事たまに一緒にしない
このドア開けてくれないかしら?

(ドアが開かないこと位知っている私がそうしたの)

幸せになる為に確か貴方が
何かを口走ったのよね
わかってる
でも何かは靄の中で
もう見えないわ

怖いわ
このまま私あのビルに向かっていいかしら
ドアの釘はもう抜いておいたから
貴方はそのままどこかへ消えて
そんなこと言われたって貴方にはきっと出来ないでしょうね
わかっているわ

「だからさようなら」

大丈夫これは夢よ
目をつぶってごらんなさい

ほら 
ひとつ ふたつ
ぽつぽつ
ぽたぽた



朝がやってきた


散文(批評随筆小説等) 空想現実 夢 Copyright かえで 2004-05-07 14:05:23
notebook Home 戻る