空想現実 夢
かえで
そろそろ外に出ようかな
引きこもりではないけれど
柔らかな日差しに触れたいのだけれどね
ちょっと怖いのよ
ビルの上のあの秘密基地から飛びたくなってしまいそうで
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外に出たら何をしようか
まず手を繋ごう
なんていうか、ぎゅっと握ってやるよ
パン屋さんでお前の好きなパンを一緒に買おう
そしたらお前のうつろな目は少しは微笑むかな
海にも行きたいね
なぁアリス
たまにはあの田舎道を足が棒になるまで歩いてみようぜ
それで砂浜で少し休もうか
魚の死骸がこの前あったんだ
まだあるかもしれない
お前が見たらどんな顔するかな
海より近くの公園に行きたいわ
ベンチに座ってパンを分け合いましょう
貴方はいつもはいている擦り切れたジーンズにTシャツ
私はあの白いスカートをはこうかな
似合うかしら?
私、貴方のあのジーンズが好きなの
捨てちゃうなんて絶対ダメよ
貴方にしか似合わないものなのだから
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お日様ってあたたかいわ
そうだな
さっきまで私は何故おびえていたのかしら
君の気持ちのせいだよ 気にすることない
私このままずっとここにいてもいいわ 貴方とずっとここにいるの
それはダメだよ それじゃあ夕飯の支度は誰がやるんだ?
「私、貴方のこと好きよ誰よりも」
・・・・夕方になったらこのまま浜辺を歩きましょう
私、貝殻をひろうの
綺麗なものみつかるかしら
見つかったら貴方に一番のをあげるわ
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声が届いていますか
声が届いていますか
貴方はどこにいますか
やっぱりこれは夢なのね
貴方との馴れ初めかしら
思い出?
なに なに なに なに
教えてくれる?
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ねぇ夢を見たの
こんなの久しぶり
貴方に似ている人と沢山外を歩いていたわ
きっと貴方だと思うわ
だってすごく仲が良さそうだったもの
貴方は昼からビールなんて飲んじゃっているの
いつかの私たちみたいだった
食事たまに一緒にしない
このドア開けてくれないかしら?
(ドアが開かないこと位知っている私がそうしたの)
幸せになる為に確か貴方が
何かを口走ったのよね
わかってる
でも何かは靄の中で
もう見えないわ
怖いわ
このまま私あのビルに向かっていいかしら
ドアの釘はもう抜いておいたから
貴方はそのままどこかへ消えて
そんなこと言われたって貴方にはきっと出来ないでしょうね
わかっているわ
「だからさようなら」
大丈夫これは夢よ
目をつぶってごらんなさい
ほら
ひとつ ふたつ
ぽつぽつ
ぽたぽた
朝がやってきた