あなたへ てがみ
かえで
もう会えないあなたへ
ちょっと照れくさいけれど今日は語ろうと思うんだ
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こんにちは
私のことをあれからも親友と思ってくれていますか
別れてからあなたのことを毛嫌いしていたけれどあなたの事が誰よりも好きでした
あれからあなたは元気にしているのでしょうか
奥さんには恵まれましたか
どうせあなたのことだから相変わらずあの約束の為にせっせと働いているのだろうね
寝癖頭でほとんど眠らず休日がやってくるまで体を駄目にして
ご飯はカップラーメンばかりなのでしょうね
そんなこと書いていたら今からでもあなたの世話をしに出かけたいくらいだわ
ねぇ そこのバカ
私の拙い言い付けだけは破っちゃダメよ
あなたのよく見ていた空は今どうですか
君がいつか見せてくれた絵の具の淡くて澄んだ青色みたいに見えますか
あなたはあの時の青色をおぼえていますか
今まで言えなかった事がさ
いつもあなたの手をほどくと
どくどくと溢れ出すのに
どうしてだろう
またうまく言えないや
もうこの言葉が届くかも分からないけれど
あなたにはまだ言いたいことが沢山あるんだよ
でもあなたは決まってこの時間はお酒を沢山飲むのよね
そうよ それでいいの
お酒の力を借りて沢山眠りなさい
少しでもあなたから毒が抜けますように
少しでも私とあなたが夢で出会えますように
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ねぇ この手紙届くかしら
私あなたの頭上にいるの
あなたがよく語っていた
お空のうえよ
これが届いたら笑ってやって
便せんはあなた好みの水色のストライプ
いつもみたいに景色の写真は送れないけれど
今回は雲をすこしつめておいたわ
私のお気に入りのリボンで結んでおいたから
そのリボンはねこちゃんに付けてあげてね
さぁ そろそろだわ
あなた目がけておとさなくちゃ
さようなら
あなたに届きませんように