虹禊ぎ
ヴィリウ

虹で身を清められると思ひませぬか、御前様。
あの七色の光の帯は、数多の宝石やも知れませぬ。


御前様。

嵐過ぎ去りし後紺碧の空に横たはるあれは、
もしや此の世で最も美しき獣やも知れませぬ。


御前様。

何時か貴方が仰つた他愛も無い其の空想を、
今はわたくしの想ひとしてゐるのです。
あの空に虹が架かる度、さう云つて笑つた貴方様を想ふのです。






御前様。

あの宝石の獣の向かうに・・・・・


貴方様は今も屹度笑つてゐるのでせうか。




未詩・独白 虹禊ぎ Copyright ヴィリウ 2007-05-09 01:51:38
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