押し問答
山中 烏流

私のこの
やはらかい、とされる部分を
貴方は
いとも容易く
貫いてしまったので
 
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たまに、プラス1の世界で
私たちはまだ
息をしなくては
ならないようです
 
 
全てを理解する事には
まだ、多少なりとも
時間がかかりますが
 
手を繋ぐには
そんなに時間は
かからないでしょう
 
 
ぐしゃり、と
握り潰したりはせずに
貫いてしまった
貴方が悪いのです、と
 
柔く罵る私の
呼吸を止めてしまえたら
幸せと、言う
貴方は。
 
 
水晶玉を透して
見える世界が、一番
綺麗なのだよ。と
 
呟く貴方に
少しだけ
怒りを覚えてしまうのは
 
秘密であり、
 
 
(世界に、嫉妬など)
 
(御法度でしょうに。)
 
 
そうして私が
言葉を磨いておりますと
貴方は既に
やはらかい部分を
失くされた、と申すので
 
私の
鋭利に尖らせた
思いを募らせた言葉は
一体何処へ
行けば良いのか。
 
 
残念がる私を尻目に
貴方は、いけしゃあしゃあと
 
最初から貴女に
貫かれていたのです、と
申しますから
 
また、柔く罵る事も
出来なくなってしまうのです
 
 
嗚呼、世界が
 
至極
透明に近づいて。


自由詩 押し問答 Copyright 山中 烏流 2007-05-06 23:00:15
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