捨てるひと
yaka

空き缶をひとつ捨てました
公園の植え込みに
ぬくもりもヒトカケラ
落ちていったことは
気づきませんでした

吸い殻をひとつ捨てました
歩道の端っこに
やさしさもヒトカケラ
落ちていったことは
気づきませんでした

思い出をひとつ捨てました
地下鉄の階段に
ワタシもヒトカケラ
落ちていった
そんな気はしていました

何十年後
カラカラの内ポケットから
捨てたはずの空き缶が
出てきました

ワタシはそれを
地下鉄のゴミ箱にそっと
捨てました


自由詩 捨てるひと Copyright yaka 2007-05-01 13:59:32
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