双方向
猫のひたい撫でるたま子



上に引っ張られると、辛くて下がついてこない。

下に引っ張られると、楽しいが上が見えない。

何をするにも2つの力が働いていて、そこには人が存在する。

やはり一杯千円もするウィスキーを啜ったり、綺麗な服を着たり、河豚を食べたり、箱根にいったりと裕福な生活は魅力的なのは間違いない。

その反面、お金が無くて銭湯にも行けず、今夜の夕飯が食べられない!となった時に友達の家にお世話になり、たらふく手料理をご馳走になるという裕福もある。

生活力は人によりお金だけでは図れない。

ビールにも苦いビールと旨いビールがある。

今日は二種類のビールを飲んだ。明日から展示の搬入後、くだらない話で旨いビール。勝手に引っ越しを決め、母に説教をくらう苦いビール。

仕事にも金になるものと、ならないものの二種類ある。

最近デザイン雑貨の売り子をやっているが、やりがいを見つけられないので客の顔を見つめるばかり。自分が好きな場所でないからなのか、好みの人を探すにも、男も女も同じ顔に見える。

お客さんに話しかけられた、「このストラップ、40代の男性にあげたいのだけど、黒がベストかしら?」

アバウトである。40代の男性も様々星の数ほどいますがどの40代男性?

とは言わず、「絶対オレンジに決まりです!黒なんて地味すぎてスーツと同化しちゃいますよね?」

お客さんは納得し、やはりこういう店のセンスのいい店員さんに選んで貰うと安心だわ!と、いい放った。

私は時給いくらで雇われているただのバイトで、人手不足で駆り出され面接もせず、売り場に立ったのはその日初めてである。服を買うお金なんてさらさら無いので、その日の私のファッションの8割は貰いものの服である。

人は見た目、より更に後退して、人は立ってる場所だけで判断されるのですかー

センスなんて皆無の最近流行のデザイン雑貨屋いち店員。

これなら皿洗いか鍋磨きをして、考えごとをしてる方が有意義かもしれません。ただ立っている方が時給はいいのです。

煙草が減って、よく食べる。

書けないとよく小説が読める。



嫌われる程、執着を感じる。

平行線を辿り、たまに交わっては離れてゆくある人が只今遠くに離れている。しかし寂しくはなく、タイミングが良いと感じる。

あの人は私をどっちに引っ張りたいのだろうか?


散文(批評随筆小説等) 双方向 Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2007-05-01 02:16:06
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