ブルーノート/360°
猫のひたい撫でるたま子

雨が降ってきたので、浜辺に置いてあった船の下で雨宿り。青く錆びた船、後ろには網が沢山積んである。

拾った貝殻の中で一番大きなのを灰皿にすることにする。

近頃は連れられて景色が綺麗な場所にいくことが多いようだ。仕事が終わった後の夕方の時間帯から海に行くなんて、素敵なことだ。

海の音は車のステレオと違って、話しかけてくる感じ、何か言ってる感じがする。

浜辺に大きなみずたまりがあった。

最近はデジタルよりフィルムにはまっているので、カシャカシャと撮る。携帯カメラで適当に撮るのも、自分が考えてない部分が映って面白い。

みずたまりの端が魅力的で、どう写してやろうかと思う。同時に水面にぽつぽつと浮かぶ波紋と、映り込む空を見てどう言い表してやろうと思う。

波の音がお前は何を作るんだ、どうするんだと言ってる気がする。

行こうとしなくてもいい場所にくるってことは、なんか作れってことなのかと思う。

何かを見て、写真ならデジタルがいいかフィルムがいいか、それとも文章にするのがいいのかと、考える。一人一つの方法ではなく、与えられたものに対して良い方法をとるのが楽しいと思う。

一つに2つの方法を用いるのは贅沢かもしれない。


大きい貝殻を選んで拾う。余白が多く、形が壊れたものがいい。小さな貝殻は紫色のみと決めて拾う。

毎回拾って帰るので、実家の貝箱の中が満杯になってきた。

干物を買って、終わる春の蛤を食べて、温泉に浸かって帰ろう。




散文(批評随筆小説等) ブルーノート/360° Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2007-04-18 21:09:57
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