けいじ物語
アマル・シャタカ

前田慶次が活躍したのは戦国時代
まだ
刑事という仕事はなかった

ジーパンだとかスニーカーだとかマカロニだとかスコッチだとか
日用雑貨食料品が
刑事になれた時代があった
いい時代だった

デカなんて呼ばれた時代もあった
けしてデカイわけではないのに
そういや
あぶないのもいたんだっけ

やがて宇宙刑事がやってきて
地球を影から守っていたりしたものだ
その前には
ロボット刑事が
ハンチングに哀愁を漂わせた時代もあった
やっぱり彼らも「けいじ」だったから
大きくはならなかった

その後
さすらい刑事や
はぐれ刑事が現れたけど
そのころにはまだ
富豪刑事はいなかった
さすらい刑事はさすらったわけではないし
はぐれ刑事もはぐれたわけではないが
富豪刑事は本当に富豪だった
時代は変わるものだ

そんなころ
深夜ひっそりと
時効刑事が謎を解いていた
彼はもとクウガだったが
グロンギを相手にしたわけではない
ただ趣味で謎解きをしていたら
人気が出た
別に彼が罪を犯したわけではなかったし
彼自身が時効でもなかったが
時効刑事と人は呼ぶいや呼んじゃいないか
パートナーの女性も昔
赤い忍者の仲間だったりする
凄腕を集めたものである
一条刑事はどうしたろう

宇宙刑事が活躍していたころぐらい
銀色の幕の世界で
金八先生が刑事だった時代がある
不器用でヘマばかりしていたけれど
拳法を使い弱いものを助けては
あちこちに飛ばされて
唇をかみしめて
生きておった
金八先生は副業がご法度なので
これは内緒にしないといけないが
すっかり刑事からは足を洗ったようである
拳法も潮騒の彼方に沈めたのだろう

いろんな刑事がいた
みんな
私だけの十字架だった


未詩・独白 けいじ物語 Copyright アマル・シャタカ 2007-04-17 23:44:33
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