ロマンスカーで隣合ったチンピラの云うには、
猫のひたい撫でるたま子
「頭がわりぃんだよなあ」
「俺の側に寄ってくるのは、いつも子供と犬だけなんだよ、」
「団地のさぁ子供はよ〜どんなに頑張って眉間にシワを寄せたってよ、無視してやってもよ、話しかけてくるだよ」
「俺は子供が怖いんだよ、オマエもそうじゃないのか?」
「その日に会った女の子とよ、布団で果てて寝てるとよ、夜中に便所に行きたくなって体を起こそうとすんだけど、なんか乗ってて起き上がれないんだよな」
「ああセックスなんてものが無ければ間違えないのにな」
「あんなよくわからない子供なんてやつぁ、俺には面倒見切れないわ」
「昔、アラブの偉いお坊さんが〜っ って、2人きりのエレベーターで歌うんだよな、陽水なんて聞いてんだな今の子供は」
「俺の上には多分水子が乗ってんだよ」
「記憶に無いんだよ、快楽の末なんて配慮できねぇよ」
「結局おしっこ漏らしちゃってさ〜、もう二度と同じ子と寝ることにはなんねんだよな〜」
「どうだ?オマエ家が無いならうちで風呂でも入ってくか?」
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鎌倉に向かうロマンスカ―の中で隣に座ったのがまたガラの悪いチンピラだったため、怖すぎて煙草を吸っていいか聞いたところ、一時間もお喋りしてしまった。
黒いバレンチノのスーツに身を包み、なんと年は同い年。幼さのこる輪郭の影には組織で働く厳しさが滲み出ていました。
記憶の限り、ノンフィクションです。