捨てられない
ふるる

捨てるのが苦手です。独り暮らしならいいんですが、家族とは共同生活なわけで、なるべく人の迷惑になることはしてはいけない。
今、パソコンデスクに乗っているもの。
消しゴム、たまごっち、計算ドリル、かがみもち、飴、漫画、本、お財布、ミニカー、
ティッシュケース、革の腕輪、おもちゃの部品、ピザのレシピ、レゴ、使いかけのマニキュア。
ちょっと気を抜くとすぐに子供のおもちゃが侵食してくる。
捨てたらすっきりするんだろうなーーー。捨てようかな・・・・小銭だけはとっておいて。
捨てることに罪悪感を感じませんか。私はすごく感じるタイプです。学校のプリントでさえも、もとは木だったわけですし、字もいっぱい書いてある。何がしかの好意を持ちます。お菓子のパッケージにも見所はある。
お菓子のパッケージは捨てられるようになった。スーパーに行けば見れるから、と思って。
いるいらない、使う使わない、という話じゃない。そのものが、その色、質感、形でもってこの空間を占めている。目を楽しませてくれる大切な一員という感じがする。
例えばこの赤い小銭入れ。この子はおすましお嬢さん。小さい飴、この子は思慮深い天使だ。使いかけのマニキュア。この子は王子さま。金の冠の。銀の縁取りのあるローブを羽織っている。
様々な色や形がないと落ち着かない。旅館などに行くと、まず自分の荷物をだーっと広げる。落ち着く。まったくもって共同生活には向いてない体質だと思います。残念ながら。
会社でも空いてる机は全部散らかして移動するので、迷惑をかけました。でも、仕事を10本も同時にやってたんだよ。
「混乱している頭の中を覗いているようで怖い」と言われたことがある。そうかもしれない。常に、色々な考えや色、音、絵、言葉、が同時進行している。そうじゃないと落ち着かない。その雑多な音、色の奔流、カーニバルのような、賑やかさ、カオス、を誰も止めないで欲しい。いつもドーパミンをどばーっと出していたい。あそこに転がっている星の王子さまのプッシュピン、あの色、光沢、別段美しくはないけど、気持ちがいい。
掃除機をかけやすくするには、すっきりとした物の少ない部屋を目指すべき。でも、それが嫌。だいたい、掃除機や洗濯機や食洗機の音って全然好きじゃない。うるさいうるさい。鍋をフライパンで叩いてる方がまだまし。あっ耳を塞げばいいんじゃない。今度やってみよう。
頭がおかしいんじゃないか、とは時々思うけど、生まれたときからこうだから、本人は困らない。困るのは、みんなが「きちんと、きれいに、すっきり」と言い過ぎるところ。
何故?何のために?敵が来たらすぐに退路を築けるようにか。
いや、泥棒が入ったかどうか一目で分かるため?
いや、物を探す時間がおしいんでしょう。確かに・・・。
これでも努力はしてる。多少はましになってきた。泥棒入った後の部屋→犬が遊んで散らかした部屋へ。
カオスを、外部に求めるのはよそう。内へ内へ。
そこにしか求めるものはないんだ。

ちなみにしまう場所はちゃんとあります。(単なるものぐさの言い訳か)



散文(批評随筆小説等) 捨てられない Copyright ふるる 2007-04-05 23:49:05
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