子猫のおとむらひ
三州生桑
子猫が一匹死にました
罪なき子猫よ
おまへの為に詩を書かう
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公園の駐車場に、三匹の子猫が居付くやうになったのは一ト月ほど前
母猫の姿はなく、生後まもなく捨てられたのに違ひない
私は、毎日のやうに公園に通ひ、こっそりと子猫たちにキャットフードを与へた
内気な猫と
びっこの猫と
陽気な猫と
今日は、何故だか二匹しか出てこなかった
一匹は脚を引きずりながら
一匹はその後からおどおどと
もう一匹を探してみると、道端に・・・
あんなにも軽く
柔らかく
温かだったおまへが
こんなにも重く
硬く
冷たくなってしまふとは
灰は灰に
塵は塵に
猫は猫山に
私は、子猫のなきがらをビニール袋に入れて
野良猫の溜まり場になって居る、公園の山の中に入り
スコップが無かったから、マイナスドライバーで地面を削り
手で穴を掘った
さやうなら
罪なき子猫よ
おまへは、とても陽気で、茶目っ気があって
さうして落ち着きがなかったね
かさこそと音がして
振りかへると大きな三毛猫が私をうかがってゐる
私が殺したと思ってゐるのか知ら?
さう思はれてもしやうがないね
ねぇ、君
ここに皆を集めて
子猫の為に歌っておくれ
陽気な歌を歌っておくれ
∴
花咲きて散りて子猫のおとむらひ