カニバリストなあの娘は どうしているのかな?
うおくきん

カニバリストなあの娘はどうしているのかな?
僕のこと、「喰べたい」って言ってくれたあの娘。
はじめてそんなこと言われたよ、嬉しかったよお!
一瞬で大好きになっちゃった。
だって、かわいい女の娘に殺されて喰べてもらえるんだよ
夢のようだよお!
生きていてよかった、初めてそう思ったよ。

はやくはやく僕のこと、殺して喰べておくれよ。
約束したじゃん。
指切りしたじゃん。
キスしながら誓い合ったじゃん。

はやくはやく
僕のガリガリに肋骨の浮いた体殴りつけておくれよ。
はやくはやく
僕のキラキラした病んだすきとおった目くり抜いておくれよ。
はやくはやく
僕のつるつるに白くて細い首しめつけておくれよ。

ねえ、はやくはやく
痛みがほしー
ねえ、はやくはやくー。

はやくはやく
僕の甘くてピンクに脈打つ心臓かみかみしておくれよ。
はやくはやく
僕の苦くて黒く粘つく体液じゅるじゅるしておくれよ。
はやくはやく
僕の辛くて白い粉っぽい骨なめなめしておくれよ。
ほんとに、僕、おいしいからさ。
ほんとに、僕、おいしいからさ。
はやくはやく
僕のこと、殺して、喰べておくれよ
約束したじゃん。
指切りしたじゃん。
キスしながら誓い合ったじゃん。
もうガマンできないんだよお。
殺して喰べて
殺して喰べて
殺して喰べてもらいたいんだよお。
最後に、最後にさ、君の、僕、味わう顔、見れればさ、僕は、ほんとに、ほかに、なにもいらない、そう思っていたんだよ。

それなのに、なんで、いなくなっちゃったの?
どこに行っちゃったの?
僕のことなんか、忘れちゃったの?
あ、もしかして、前から言ってたみたいに、手首、切りきざんで、自殺しちゃったのかな?
最後のメールはそーいう意味だったのかな?

ずるいよ、自分だけ、先に逝っちゃうなんて。
でも、わかってたさ。
悲しいけれど、恋人どーしの甘い約束なんて、破られるもの。
その瞬間の甘さを味わうためだけのもの。
そんなもんだよね、わかってたさ。
だけど、君の、病んだ、すきとおった目、忘れないからね。
僕と、同じ目、忘れないからね。


未詩・独白 カニバリストなあの娘は どうしているのかな? Copyright うおくきん 2007-03-25 00:27:29
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