ワープ
みつべえ

夜の洞をぬけるとき
火のしずくにふれるとき
眠りの軌道をすすむとき

蝙蝠のいらだちに とろける皮膚に
濡れた夢の繊毛に
からまり もつれて
声は発熱する

星のページを閉ざすとき
石の料理を了えるとき
風の秘密を知ったとき

もだえ くだけて
それは声からも逃亡する

肉体をはなれ
名前のない 鱗のような追憶を
呼びこむ仕方で

遠くから未知の騒擾をもたらす
あの場所へと
純潔を少しずつ
失いながら


自由詩 ワープ Copyright みつべえ 2004-04-23 21:12:04
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