記号はロック
猫のひたい撫でるたま子

言葉は型にはまって矛盾した意味になる。
たったひとつの単語への認識の違いで、誤解が生まれて下手したら信用すら失う。

例えば、被害者と加害者。

被害者 イコール 落ち度が無いのに可哀相な人、
加害者 イコール 配慮に欠ける酷い人、
という付加認識がついてまわる気がする。本当は時と場合によってイコール後が変わるものだけれど、ニュースや情報の無い場所で自動的に判断されてしまう気がする。

言葉は感覚と違って共通言語だから早く伝達するという特性がある。
言葉を型にはめようとするやり方は、この特性からきているものだと推測するが、安易に一般的な言葉の付加価値が付いてゆく気がしてならない。そんなに整理整頓されないと気がすまない世の中なのか。感情なんて一言で整理が付けられるものでもないし、優劣も善悪も同じだと思う。
単語ひとつは記号だと思う。単語という記号を使って、表現したいものに一番近い文章を探して見つけてゆくのがコミュニケーションだ。

一言で伝えられることなどない。でも、私は一言で言い切りたいと思う。あいまいな言葉を使って、一言だけの言葉には力があるから。そこに嘘が入っていたとしても、伝わったときにその嘘がただの強調だと感じてもらえれば最高。死んだ、とか、愛とか、永遠とか、よく公衆便所に殴り書きされている言葉には力を感じるからみんな一律にトイレに書かれている。



散文(批評随筆小説等) 記号はロック Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2007-03-20 11:49:23
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