低空飛行
つめきり


屋上にいると からだはんぶんずつ消えていきそう ゆうしてっせんが空をてっぺんから
だめにする、僕のあしもとのおもみがなくなり、飛んでいく鳥の骨を抜きとってしまった、
「ひる」口にできない。つたうひびき、くちばしから内臓まで乾かしてしまうあの風がと
どまる瞬間の、「あめ」いくつもの針をさしだすが、つめたく。みずから足先から大腿へ、
だしぬかれた あの滞空を貫通して成層圏をはためかせると 
 僕がふらふらする 、言えなかった。



「ネジがとれていてよかった」
。つきまとう真昼の夢はオイルをのみこめないくらいせつなくして、そのけだるい眠気が
僕のしなやかさをくりかえしくりかえし離陸させているのだろう ネジは埋めこまれてい
ない。 なめらかに翳した傷の凹凸 消えそうな僕の手で 幾度となく
顔の輪郭で翳っている亜麻色の髪の、うつくしいあなたを首を5cmくらいななめにかし
げると、なないろにみえてしまうからこの胸をくすぶる。    切りすぎた前髪に 
花粉のさきっぽ が誘われて旋回する どこまでも見ていたいけれどしだいに濁音が、
滑走路を削る   去勢されたおくゆきは 空っぽの教室をなめらかに落としこむだけ




、プロペラが2枚だけ空からはみだして。
限りない視野 旋回しようと、手足をばたつかせているけれど、
みうしうなったもの すべてじゃなく、そう。僕が、みえなくした。ふらつくときはいつ
も平衡かんかくだったから
そのまま手足がそなわっても、僕たち少しも飛べなかった。 みうしなっていく
それが浮つくひびきにも似ていて、噛み合わない空気に巻き込まれ 軋む音は聞こえない

墜落でなくしたパズルがひとつだけ、みつからないんだ、うなばらを、めぐる夢から覚めると
いつも
、浮かばれる、事実が
単調な作用をつづける、
プロペラの外枠線が書いて消してまどわせる この足場をすくって、こぼしたくない、
あめふりのはじまりに、数え切れないくちびるのふるえをゆだねる
ぼんやりとしたおもみ、
その高度で見つけた机に伏して、ちかづくとはじまる沈殿。みずくさのあるうすぐらい僕
の部屋、そのおもみで一枚がはがれた、すぐには、落下が始まらないけれど ほら、こぼ
したくない
募ったもの落ちていく川べり公園の成層圏
墜落しないまま くりかえす、水位から水位へ ゆうしてっせんで
錆び付いた 青 くぐもる
歪みない空だったから、僕はぶんみゃくを馳せる。公園のベンチに
ひとり 果てしないから にごりがない
(こぼしたくない)

夢を見ていた


自由詩 低空飛行 Copyright つめきり 2007-03-17 23:03:11
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
四文字熟語