羊飼いへの祈り 
服部 剛

迷える羊の私を 
いつもの空から見守る羊飼いよ 

誰かに愛を求めては
粉々に壊してしまう私を 

自らを嘲笑うかのように 
紅く波打つ海に溺れる私を 

憐れんでください 


( 私は頼りなく揺れる花 

( 私は忘れ去られた路傍の石 

( 唯一の、暖かい陽射しを待ち侘びて 

( 地に影を落とす者 


目には見えない姿で 
今日も空から見守る柔和な羊飼いよ 

深夜の海洋に浮かぶ船の甲板に 
独り震えて立っている私の 
羅針盤となってください 

汚れた私のからだのなかに 
夜風とともに入ってください

望みの失せた物語の続きを 
わたし自身の手ではなく 
あなたの握る筆で描いてください 


夜の闇に放たれる、長い絵巻物のように 








未詩・独白 羊飼いへの祈り  Copyright 服部 剛 2007-02-25 14:26:35
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