桜の木
yoshi

僕は

君の存在が永遠で

ずっとずっと僕の側で

微笑み続けてくれる事を

信じてきたんだ

だから

暖かい言葉や

甘い言葉を

言わなくてもいいと思ってきたんだよ

君に

全部を伝えなくても

きっと君はわかってくれていると

思っていた

庭の桜の木がつぼみを付けた時

君が嬉しそうに僕に報告してくれた

でもあの時

僕は笑顔を返しただろうか

目を

見てあげただろうか

すまない

自信がないよ

長男が産まれたときに

君は僕にそっくりだと

喜んでくれたから

僕もすごく嬉しかった

僕はこの子を愛して

君の事もずっと愛し続けるよ

あの時

君の目を見て

言った言葉だ

なのに僕は

君の寂しさや

君の辛さを

知ろうとせず目をそむけ続けた

いつからか

君の目を見る事が少なくなっていった


今年も桜の季節が来たよ

この前

庭の桜がつぼみを付けたんだ

僕は君の笑顔を思い出した

君の顔を見て

報告したかったけれど

もう

君の姿はこの家にはない

今頃

どこで桜を見ているんだろう

どんな気持ちで

つぼみを探すんだろう

僕は

君を失った事をまだ

受け入れられていないよ

僕の心の中の桜は

きっとずっと

つぼみのままだ


自由詩 桜の木 Copyright yoshi 2007-02-19 22:51:49
notebook Home 戻る  過去 未来