アンタレス
焼石二水



赤色の
不眠に貫かれた
清潔な砂漠の、。(少年の)海の
向こうの
幻としてだけ、。私は
今夜
ふしだらな聖母になり
奉られて
祟られて
紡がれて揺れ、。(少年の)モイライの
手の内を流れたら
幻としてだけ、。いつか
ふしだらに消える

そうした
骸の堆積が
分解を待ち、。繰り返し
時刻表を調べるのは
次の列車を待つからだ、。幻は
人を待ったりはしないが
黒い煙を吐くものは
いつも定刻にやってくる

遠く、。この砂漠で
無人の駅に
愛だった、。と、しか
言えないことなども全部
口に含んで、。遥か
甘さは転がして
喉元を過ぎる水の
手触りを下し
黙し
時を
一人で待って、。誰も
私を生きられはしない、。と(少年を)
生きられはしないと、。生き残り
生き残った者の
墓標として立つ、。この
女には
そのための火が
ひとつ燃えている、。赤く
夜には眠り
また昼には目覚め




未詩・独白 アンタレス Copyright 焼石二水 2007-02-16 22:22:26
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