ビーム・ビーム・ビーム
田島オスカー

ホカロンなんてダサいわよ、
あたしと会うときはそんなもの持たないで。


カーテンに透ける夕陽
そのむこうに何があるかを彼女は知っていた

バカじゃないの、
寒いならひとりで居なきゃいいのに。

彼女は全てをありのままに
さらけ出すことなど愚考だと知っていた

ねえ、どうしてそんなにすぐ目を伏せるの、
まるであたしが悲しいだけみたいじゃないの。

痛々しさばかりがにじむ毛先に
絡む指が美しいことだけが彼女の良いところだ


もう会うこともないなんて、
あなた言うけれど、

僕はきっとこの先いつだって
彼女の常に揺らぐ視線を思い出す


あたしね、大好きだったのよ、
あなたのことじゃないわ、ここのね、

彼女の揺らぐ視線の先は
僕の手の内に入ろうとしなかったけれど


このソファから、カーテン越しに見る、
真っ赤な夕陽がね、あたし大好きだったのよ、

今日彼女はまっすぐに
昔煙草で焦がしたカーテンの隅を見て


もう、見られないのね、
今日も綺麗に真っ赤なのに、もう。


直線のビームがその瞳から放たれあと三秒で
西日に染まるカーテンが焼き切れる

 


自由詩 ビーム・ビーム・ビーム Copyright 田島オスカー 2007-01-25 05:56:48
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