洞窟のスケッチ
七尾きよし
遠い空間という名前の洞窟があります
近い空間という名前の肉体があります
詰め込めるだけ詰めてしまうと
当然パンクしてしまいます
なんでもかんでも入れたくなるのですが
入口があるのなら当然出口もあると思うでしょうが
入れたものは入口からしか取り出せません
奥底にたまった十代の遺物などを取り出そうと思った日には
それ相当の痛みが伴います
不良品であろうが
ちょっとくらいねじまがっているやつであろうが
そう簡単に取り出すわけにはいかないということです
ある日わたしたちはそのことに気がつきます
その時期は人によって随分とちがうそうです
まあそういうわけで私たちは相当に用心深くなるのです
そしてはるか遠くにある洞窟に思いをはせるのです