シナリオ・百合崎高校馬券部始末記②/平瀬たかのり
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- 空丸 
- たま 

一次審査を突破した最大の理由は、女子高生と馬券(競馬ではなく馬券!!)の組み合わせが新鮮だったからでしょう。こんなモチーフはだれも描けません。
描けるとしたら平瀬さんだけ。
競馬は平瀬さんの最大の武器と言えます。競馬を書かせたら平瀬さんに追いつける脚本家はいないでしょう。
ですから、いずれ平瀬さんはこの武器を生かしてプロになるはずです。

そこで、ぼくからひとつ注文です。
プロになるために平瀬さんの脚本に必要なものがあります。それは「普遍性」というものです。
普遍性とは「だれが見ても読んでも納得できるもの」です。
例えば、平瀬さんは古井由吉の「こんな日もある」(競馬徒然草)を読んだことがありますか。(講談社から出ています。)
競馬雑誌「優駿」に30余年連載されていた古井の競馬エッセイです。
古井といえば戦後日本を代表する作家の一人です。その古井が作家であることを忘れて、ただひたすら競馬を語るのです。
それはもうだれが読んでも(競馬を知らないひとでも楽しくて)納得するエッセイなのです。

平瀬さんの脚本に普遍性が宿れば文句なく入選します。足らないのはそれだけです。
普遍性を宿す作品が入選するのです。これは審査においては最後の選考理由になりますが、詩であっても、小説でも、脚本であっても、普遍性がなければ入選しません。
古井のエッセイを参考に、競馬に普遍性を持ち込むにはどうすればいいのか、いちど考えてみて下さい。

ちなみに普遍性ってのは狙って書けないから難しいのですが^^


 
作者より:
空丸様。
 今回もお読みいただきありがとうございました。たいへん励みになります。これからも地道に書いていこうと思います。
---2023/08/17 19:28追記---

たま様
 お久しぶりです。お読みいただいた上、このような過分な励ましのお言葉をいただき、本当に感謝いたしております。
 実は昨年、新人シナリオコンクールにおきまして、「ウエストロード・ラブストーリー」という作品で、最終選考の11編まで残り、東京の学士会館であった授賞式に参加させていただくことができました。シナリオ作家協会のHPにて昨年度の最終選考作品として公開されております。お時間あるときにでも、お読みいただければたいへんうれしく思います。
 また今年はこちらで公開させていただいでおります「恩寵のバーガンディ」は本年度の新人シナリオコンクールにおいて、三次選考までは残りました。残念ながら連続の最終選考とはなりませんでしたが、「渾身で書きたいことを書いてみよう」と思った作品です。こちらもお読みいただければとてもうれしく思います。(続)
---2023/08/17 19:40追記---

 シナリオスクールに通うこともならず、独学で書き続けてきた者として「時間かかったけど、ここまで来れたのかなあ」という思いはあります。
 寺山修司の競馬エッセイ(寿司屋のマサやトルコの桃ちゃんがでてくるやつ)は若いころから好きでよく読んでいたのですが、古井由吉のものは読んだことがありません。ぜひ、手に取ってみようと思います。
 『別冊宝島』の競馬読本をよく読んでいました。かなざわいっせい、中田潤、黒須田守、須田鷹雄、畠山直毅、水上絡、秋本鉄次……そこでは本当に素晴らしい書き手の方々が熱く競馬を、騎手を、競走馬を、馬券を、綴られていました。「読む競馬」に書き手として育てられたところは絶対にあると思っています。
---2023/08/17 20:03追記---

今年の城戸賞は競馬ものではありませんが、昭和を舞台にして書いて応募しました。時代や需要から外れているのかもしれませんが、いつかテンポイント、トウショウボーイ、グリーングラスの<TTG>をテーマに、しっかり往時の競馬を調べて書いてみたいと思っています。民放のシナリオコンクールも増えてます。ここまで書き続けてきて、どうにかここまで来れたのだから、これからもずっとシナリオを書いていこうと思っています。

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