曲り下る路のむこう/ただのみきや
Lucyさんのコメント
極端に悲惨な光景やネガティブな描写もなく、
現実にありがちな景色の中に深く入り込んでいくほどに、
深層心理の暗がりに沈む禍々しい幻想に
引き込まれていくような予感が膨らんでいきました。
最後まで読み終えてやはり夢だったのかとホッとするよりも、
いったいどこからが夢だったのかという不安が尾を引く…
そんな静かな力のある作品と思いました。
鴉の鳴き交わす声を、耳の遠い老人が声高に語り合う様子に例えるなど、
相変わらず随所に巧みな表現が散りばめられていて、
いつか無意識に模倣してしまいそうで心配です。(^^;