(夏、とおい傷指す午前)/「ま」の字
「ま」の字さんのコメント
 間歇的に、私の心に噴き出してくるある感覚。先日、またもその感覚が噴き出してきたとき、かき集めるように自分好みのことばを呼び出した。並べた。

 したがって、意味など読んだ人が勝手に思い浮かべればいい。ここには日本語になっていないものさえある(「漏れ日て」「悼まねく」)。いわばさびしく、またはげしく個人的な遊戯。以下アトヅケの勝手現代語笑訳

 「顔にさす、まだらの漏れ日から顔そむけることもなく浴びていた。声を失う少し前、まだ悲しみのなかった頃には」

 「声を失う前の」を「(誰かの)声が消え去る前の」「(誰かの)声の記憶も消え去る前の」などとするのもいいかもしれない。

 本文中の「失う」「悼む」。題(?)にある「傷」「午前(まだ一日が若く弱い)」などの言葉がかもし出す雰囲気により、この「まだら漏れ日」を顔に浴びる者は、実はもう死んでしまっているのではないか。死んだも同然の何か黄泉の世のような所にいるのではないか。などという感覚がそこはかとなく漂うのも個人的に好み。

 さびしい。ごく個人の遊びです。ひとりあそびする子がでたらめに作った歌を歌うような。遊びで作った言葉をどこかに書きなぐって後ろも見ずに帰ってゆくような。そんな感じ。作者にとっては歌う声が、書く手が、すこし震えてはいるのだけれど。
---2010/07/25 23:36追記---