【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
「ま」の字さんのコメント
 極道では高名な一条さんの作品。個人的には最初の3行読んでもう読みたくなくなる程の「相性の悪さ」なのだが(もっとも極道の詩のたいていは私にとってそうなのですが)、この批評のおかげで読むことが出来ました。そのことに感謝。一条さんの作品のレベルの高さが良く分かった気がする(ただし、何がどうレベルが高いのかはわかっていない。ダーザイン氏の評「中身はすっからかんでも、〜」と同様、インパクトを受けたということです)。好きなタイプの作品ではないので、何度も読み返すかは疑問ですが、自分の詩との比較も含め、いろいろ考えさせられる作品でした。
 それから、この批評文のスタイルについてですが、批評者の書いている部分が一種の物語というか、読み物仕立てになっているのが、半分有意義で半分ウザイという感想です。公園で遊んでいる連中の死体役の子が空虚になったり、という書き方は、はじめ煩雑で冗長なディテイルが多いという気がしましたが、一条作品の「空虚」やらなにやらは、決して文字の上のことだけではないのだ、現実とつながっているのだ。ということを説得力豊かに書くには、案外この方法がもっとも(ベタすぎるにしても)有効なのかなと思いました。しかし同時に、「あたしは〜思った」の形が、私にとっては冗長でうっとうしい感じ。しかしこの形は、筆者の作品及びこの批評さらには文学というものへの愛というか、熱意の表れでもあるのだろうなあ、とも思いました。

 急ぎ書いたので、事実誤認等あれば申し訳ない。
---2010/01/14 21:08追記---