LGBTIQの詩人たちの英詩翻譯 しょの66/田中宏輔2室町 礼さんのコメント
前からいおうと思っていたのですが、ヒマが出来たので
ひとこと。
"基本的"な語彙の英語翻訳能力が不足しています。
たとえば
"turned their cars in our drive"
ですが、
drive は「運転する」という動詞ではなく、家と公
道をつなぐ私道(driveway)の略称です。
だから
"as my dates turned their cars in our drive"
ぼくの車が、ひとの車を方向転換させた
は、誤りで、
デート相手(彼氏候補)たちが、うちの庭道で
車を回した(バックさせた)とき
が正解です。あるいは、
"I'd balance / I'd whisper"
のwould ('d) は「〜したい」という願望ではなく過去
の習慣(よく〜したものだ)です。
従って、
味わいたいとよく思ってたんだ / ささやきたいと、
いつも思ってた。
は誤りで
(よくそうやって)バランスをとったものだ / (よく
そうやって)囁いたものだ。
が正解です。時制と願望を取り違えています。
他に大事な誤りがいくつかありますが、あとはご自分でどうぞ。
---2026/02/01 09:03追記---
>この詩の田中さんによる誤訳によって英詩の解釈に大きな
>影響が出ている部分は以下です。これはさすがにわたし一人の手
>には終えないのでGemini3の手も借りました。
1. 誰が「聾(つんぼ)」なのか
翻訳: 「叔母さんの聞こえない耳に、大きな声で言った」
原文の解釈: 「(石像であるマリアの)聞こえぬ耳に向かって、
(声に出さず)口を動かした」
これが重要なのは、語り手の絶望的な孤独を表しているからです。
叔母という「人間」に訴えているのではなく、**沈黙し続ける石
の塊(神の母)**に対し、「孤児が死んだ償いにあなたが置かれ
たというなら、なぜ父はいないの? 奇跡を見せてよ」と、虚無
に向かって問いかけているシーンです。相手が石像だからこそ、
その「沈黙」が際立つのです。
2. 「償い(amends)」の背景
翻訳: 「どうしてか……神の母は庭のなかに置かれたってわけ
だけど」
原文の解釈: 「(叔母が預かっていた子供を死なせてしまった
という)取り返しのつかない罪の償いとして、像が置かれた」
「どうしてか(理由不明)」としてしまうと、この像が持つ禍
々しさが消えてしまいます。このマリア像は単なる飾りではなく、
「死」と「罪」の身代わりとして庭に立っています。その重苦
しい存在(トーテム)と、父を失った子供たちの空虚さが共鳴
しているのがこの詩の核です。
3. 「味わう(taste)」という行為の真実味
翻訳: 「味わいたいとよく思ってたんだ」
原文の解釈: 「(実際に)石膏の味を味わった(舐めた)」
これは「願望」ではなく、**「過去の事実」です。10歳の少女が、
寂しさや割り切れぬ思いから、庭の石像にしがみつき、その背中
のひび割れた石膏を実際に口に含んでいた……という描写です。
「〜したいと思っていた」というマイルドな表現にすると、この
詩が持つ「物への執着」や「生理的なまでの飢え」**という生々
しさが薄れてしまいます。
---2026/02/01 09:48追記---
>この詩は、キリスト教的倫理への反抗を描きながらも、その裏側
>で「自分と同じ背丈の、動かない石の塊」だけが、「舐めたり」
>「話しかけたり」できる孤独な少女と同じ意識状態の唯一の伴侶
>であり否定すべき存在だったという、美しくも残酷な愛の詩
>ですが誤訳によってそのニュアンスが減衰しています。