安らかな茫々/atsuchan69ハァモニィベルさんのコメント
「老人と海」を彷彿とさせますね。ヘミングウェイはそのとき51歳でしたから、そこに描かれてるのは本当の老人ではなくて、まだ闘志に燃えながらしかし身体はもう確実に老いてしまっているという作者の心だったでしょう。それと比べるとこの作品では、小舟は本当の老人という感じですね。
肉体は文明で、心は文化だとすると、文明は滅びるもので、文化は廃れるものですから、文化が形骸化すると(つまり、作法教室のように心がカタチだけになってしまうと)価値があった筈の中味が失われて、廃れていく一方ですね。
つい先日、部屋のエアコンが故障したので大家に取替えてもらったのですが、取り付けに来たのが、かなりご高齢の老人3人で、大丈夫かなと見守っていたのですが、ゆっくりとしたひとつひとつの動作がすべて的確で無駄がなく、しかも要になる作業は丁寧確実で、静かに黙々とこなされていく全ての動作がもはや至芸でした。七年前に取り付けてもらった時は若者二名で、作業中も帰った跡も茫々としてたのですが、今回来た匠の老人が帰った跡は蒼蒼としていましたね。
文化に値する文化に、未熟な私はいつも憧れていたい、とそう願いますね心から。
※(私の作品を読んで頂きありがとうございました)