漸近線の夜/ねことら
菊西 夕座さんのコメント
猫の丸まった背骨に沿って漸近線が延びていくような感覚を抱きました。

深く交わらないという世風をどこか風刺しているようではありますが、そうした冷ややかさも含めて猫の背に託して丸めてしまうしなやかさと軽やかさがあるようで、なんとも憎めない、猫のしっぽのようにスルりとすりぬけていく、いい線を突いている作風かと思われます。

これは猫の背中の曲線に対する、尻尾の直線が演じる漸近線ということで、ふたつは交わっているようで微妙にずれている、そんなあやふやな交尾の夜をよく象徴しているようです。