工場/草野春心
乾 加津也さんのコメント
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後でコメントを書かせていただきます。^_^
---2013/09/04 16:09追記---
設定に読み手を据える1連から始まり、芒に似た痩せこけた雑草に見つめられながら、語り手は事象と自己認識の間を鬩ぐ扉をゆっくりと開いてゆく


  青いトタン壁に申し訳程度に
  取り付けられた扉がかすかに開き
  誰かがそっと顔を出しそうな気持ちがする


草、虫、季節という自然の循環はあたりまえでも、彼らはそこに自らの価値をすべて(一抹の疑念もなく)反映させるのに、人の生活は迷いと哀れに満ちている


  夏の虫と秋の虫が、今だけはとなり合って
  原初からの楽譜を必死に追っているのだ
  錆の目立つ軽トラックが一台、
  ひかえめに走り去っていく


これらをまとめる力をもって秀逸なのは最後だろう
雨は詩にうってつけのモチーフだが、それだけにありきたりな処理に落ちることはよくあることだ
名も知らない芒、錆びの軽トラックの件を背負いながら、書き手には感性だけでなく技量も問われる所以である


  からだのどこかで
  少しだけ雨がふっている
  でもそれがどれぐらいの強さで
  いったいどこにふっているのかは知らない


私もいつか工場の作品を書く(書かずにはおれない)だろう。いつになるかわからない自作に託す愛おしさもまた書き手の愉しみの一つなのである。


とか、書いてみました。コメントは自分の勉強のためです。失礼はお許しください。