すべてのおすすめ
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
時間が目まぐるしく回転している。空想ではないゆえに理想的な弧を描く。天からこころを探すための装置が覗いている。場所のカケラの発露。手すりに掴まっている子どもが見える。
ひとを好きになって
はずかしかった
目も口も鼻も手足も
はずかしかった
話すことも黙ることも
さわってもさわられても
泣きたかった
赤くて青くて
欲しかった
あふれるまぎわの気持 ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
優しい人の手を拾った
深夜だった
路上の片隅に転がるそれは
少し青白く
何だか寂しげに
落とし主が戻るのを待っていた
ひんやりと冷たく
落とせば砕けそうな手だった
それでいて重たく ....
ここに私がいないことを誰も知らない。
嘘は何一つないけれど
ここには本当の事がない。
パジャマで過ごす一日も
痴漢に耐える満員電車の一時間も
恋人とのえげつない二時間も
....
しろい紙に 向き合い
しろい箱を 造り
しろい心を 持ち歩く
あるとき それは逝った病室
あるとき それは骨壺
海沿いを走る電車を降りると
そこはまるで見知らぬ ふるさと ....
名言を噛んだ
病院の待合室にテンションの高い男
あなたの無言は
あなたの背骨を通って
わたしの角膜を刺激する
まな板の上で切り刻まれる玉葱が
まるであなたのようで
思わず手を止める
せめて責め ....
起立礼着席起立礼着席起立礼着席。眠りが燃える、朽ちない光が永遠と。堤防で打ち上げ、喧噪に染まる眩暈が静謐に嘯く。肉体の水面、泥を着て。何かがすべてになろうとしている。
静かだった……
禁じられていることは それほど多くはないはずなのに
ただ、いくつもの瞳だけが 土埃に塗れながら
風と風の間で何度もはね返っている
男たちの沈黙はカラ ....
獏が夢を食べて吐いた
種田山頭火養成ギブスつけたまま寝ている
子供の前で大人のふりをした
洗濯物の前で大人のふりをした
鏡の前で大人のふりをした
悲しみの前で大人のふりをした
ママ友の前で大人のふりをした
雪の前で大人のふりをした
....
水母は しばらく空気をさまよって
やがて岩にぴったりと貼りついた
月が喋らない夜に
三角定規ひとつだけ残された廃校で
誰かのあくびのように だらしなく伸びていく廊下 ....
江ノ電鎌倉高校前駅と
腰越駅とのその間で
窓という窓が突然
ぱっと明るい海となり
ゆるいカーブの水平線に
乗客はみな取り囲まれてしまうのだった
すばやく走る波の線
空の始まるとこ ....
時はいつも人を吹きすぎてゆく
ちいさな想いや願いを散り散りにして
もうあの時のうたは
二度とはうたえない
いちまいの絵のように
すでに過去のギャラリーに
展示されているのだから
....
夜中に窓枠がぴしりと鳴る
夢のなかから呼び戻されて
枕元をさぐった手に触れるものがあり
それは感触で人の耳だとわかる
よく見えないがそれはたしかに二切れの耳で
ゴムのおもちゃのようにも思える ....
仮想
ブラックホールを目のあたりにして
シンボルはちびった
りらりら、らりら
追いつけるものなら、捕まえてみろ
術らかな言語が
かれを果実(もくてき)と思いこんだが
うだる密林 ....
私は何も知らないじゃないか。
小学校、中学校、高校、大学、社会人。
サボってきたわけじゃない。
つらいことの方がが多かった。
それなのに学校が何であるか。
社会とはこういうもの。
国とはこ ....
あさはか
その響きがいい
ばか
よりはいいかんじ
そんな風に置き換えてみる
あのこがしんだ
その朝に
きみは五年の長さを知っているか
経つ、の意味を知っているか
帰らぬ意味を分かっていたか
どこへゆくのか悟っていたか
わたしは無防備だった
知る、分かる、悟るからは遠かった
でもいまでは ....
本当は違うんだよと
言える、言えない、言える、
言えない、
汽笛が聴こえる部屋ならば
きっと届けるこの思い
列車の駅はすぐのところで
かならず乗せてくれるチケットもある
ポケットを確 ....
なぜこんな時に扉を叩くの
花瓶に花の活けていない
美味しいお茶のあてすらもない
ましてや椅子は一人分
花なら持ってまいりました
お茶の用意もしてきましたよ
あなたの部屋の電気ポット
....
ぼくはきみがすきだから
いたくしない
つないだ てがいたいなら
はなしてあげるよ
のぞきこむ めがいたいなら
いっぽ さがって
ハローとふるての ゆらぎもかなし ....
天気のいい夜
寒いけど月がまんまるで
明るくて綺麗で
照らされた空の一部が
ぼんやりと群青色で
星を消す
でも見上げた空は広くて
星は沢山あった
買い物袋を片手に月夜を歩く
風は冷 ....
卵がスウィングしている
托卵容疑の直滑降は不恰好に喉を塞ぎ
やがて破裂して口いっぱい
玻璃 瑠璃 瑪瑙 罵詈 雑言
秩序の欠如は流星し
脳裏がそっと炙り出す
片手に毬 錦の手 ....
「軽くふれて下さい」という場所に
そっと手をあてると、自ずとドアは開いた。
人の心も、軽くふれてみようと思う。
言葉のナイフで樽から飛び出す
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