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電動歯ブラシ一本朝の洗面台
ぶるぶる
おやおや寒いのかな
白い粉
雪のように真っ白で
雪国の少女が掴んだ歯ブラシ
ぶるぶる
ぷるぷる
ぶるぶる
ぷるぷる
今震えているのは
....
箸が並んでいます
きれいに連なって並んでいます
じいっと
待っているのです
箸が並んでいます
もう
ここには帰ってこないのです
あなたが弾く鍵盤からは
詩が聞こえてきます
ピアノ色の言葉が
楽譜から飛び出して
わたしの耳元でささやくのです
あなたの詩は
私にとっては水の流れ
水色の言葉は
静寂で濁った悲 ....
午後と午前が一瞬だけ相槌を打ち
手渡される密書
時間を知る者だけに閲覧を許される
一日を均等に二分割したのは人間だけだが
月と太陽は有史以前から
地球に影を描いて輪切りにしていた
....
円周率の最後の一桁に出会ったら
宇宙はそのときめきに吸い込まれてしまうだろう
数字とは限らないその解は
きっと愛を語る詩人のように嘘っぽい
輪転機が無限に探すが
解けない問題こそ美しい詩のよ ....
星降る夜に
ノクターンを
あなたと並んで
聴いている
深い漆黒の風
灯りは湖の漣だけの
ショパンが
似合いすぎる時間
千回目のメールの後に
やっと会えた二人
だから ....
摂氏零度付近で繰り返す
憤りと自己批判
つい今しがた晴天だったはずも
霰の降る未熟さ
頭を垂れるつららになれたらと
空を仰いでみた
雪解けの光沢に偽りはないのだが
春の陽射しは強すぎ ....
君の色はどんな色?
いじわるな質問ではないから
並んだ色鉛筆から
一本だけ取り出して
君の色で画用紙いっぱい塗ってみる
君の色はこんな色
赤 青 緑 黄色 黒 白
ご覧
僕が選んだ ....
「明日」
ATMから引き出そうとしたら
お客様の明日は残高不足です とアナウンス
借金ばかりの恋で底を着いたのか
利子もあの子ももう赤字になって去っていく
振り返るのは嫌いだが
この ....
白い雲もなく
白い波飛沫もない
ひとつだけの乱反射が
わたしの瞳に届けられる
このひとつの色の波長は
わたしの血液を振動させて
濁ったこころを浄化する
黒い策略もなく
黒い騙し討ちもない
確かな ....
今夜もまた誰かの悲しみが裂けてしまった
梟の眼が光る孤独の森
冬の尖った爪が人の夢を引っ掻く
日が昇れば
何も聞こえなかったように
白い雪の舞い
光が冬の仮面となり舞踏会
....
季節の足跡が白い凍土となり
剥がれた絵の具のように
海鳴りが景色に仕方なく張り付いている
此処には君はいない
それでも此処は君のいた場所
今日君はい ....
都会の人々が
いっせいに蝋燭に
明かりを灯したその夜
ひとつの灯が
消えた
わたし…
それっきり
くちびるは動こうとは
しなかった
友人の一人は
彼女の瞳は笑っていたと ....
「きみ」 乱太郎
どこかで会っているよね
そんな問いかけをしたくなった
きみの黒い瞳
いつだったか呼んでくれたよね
そんな昔話しを思い出したくなった
きみの褐色の肌 ....
二月の鼻先で
くしゃみ
クスンと泣いたのはだあれ
三の日に人がいて
春になるって
知っていたかな
鬼は外
ウグイス豆頬張って
あはは
泣き虫も福笑い
春来る
あなたの手に触れたとたん
恥ずかしくなって文字が滲んでしまったかも
読んでいただけましたか
言葉と言葉の間のためらいと
僕とあなたと間との小さな活断層
信じ合うためには強力な接着剤が必要 ....
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です
詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
悲しんではいけないよ
なんて決まり文句
どこでも拾うことはできるけど
悲しみ
そこいらに落ちているもんじゃない
背後から黙ってやってきて
いきなりけられるようなもの
泣いてはいけ ....
さよなら
と言いながらつむじ風
くるりと巻いて
さよなら
ともう一度
こんにちは
とは言わないで
何度も
何度も
さよなら
止まらない銀河鉄道
開かない窓からアンドロ ....
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