世界は夢
夢のなか
さ迷っていた
あてどなく
銀輪は廻り
戻って来る
何度も何度も
同じ場所
途方に暮れた
やじろべえ
帰り道を喪失し
戦慄狂気
均衡保ち
銀輪はひたすらに
....
春の約束
永遠に叶わない約束
散るときを知って
失墜しながらそれでも
対の自分をさがす
さがし逢えたら手を繋ぐよ
ひとのまばたきより短い時間を使って
もしも一対になれたら
空へはば ....
風は帰っていく
見えない世界へ
この世の熱を帯び
(孤独の歓喜に覚醒し)
極北の地に、極北の地に
すべてを担い
帰っていく
スズランスイセンが揺れている
こくこくと揺れている
つまずいたら
抱きとめる つもりか
はる
ひと房の 想い
とりとめのない
イメージだけが
残る過去
過去を塗りなおす
想像とか
思い出にひたる
郷愁とか
死ねばいい
記憶も思考も
なくなればいい
斜陽のとき
時折さす ....
紅いつつじの花びらに
雨滴が留まり
艶やかに
膨らむ、透明の
二滴、三滴、
輪になり
映える
灰の空に
やがて
緩やかに吹く風に
揺られ
つつじの花弁から
零れる雨滴
紅 ....
剥き出されている
神経は逆立ち
風雨に鳥肌立つ
葉桜は激しく波打ち
瞳をくりくりと輝かせた
木登り少女は姿を消した
何にもない、何もない
意味は全て剥奪され
記号だけがひょろひ ....
まるで優しい夢だ
満月の砂漠
輝く満月が浮かんでいるように
胸には小さな宇宙のような穴が開いていて
埋める星の金平糖を探し続けていた
湖のそよ風の吹く夢や
海のそばの大きな河 ....
眠りの手からこぼれては
目覚めの音に降りつもる
光むく横顔から生まれ落ち
此処がまだ午後と知る
真上より
少し北に下がる月
うろうろと
川を流れる
空の ....
密林
と
書きかけて
窓を開ける
飢えた街路樹だらけの街に居て
ばかげた恋をした
簡単に血を流した
空が青いとは聞いていたが
青がどんなふうかはしらなかった
鮮やかな轍を残しつつ
決して姿を現さぬもの
いつかの時を夢見ては
永遠にさらに逃れゆく
底に沈んだ泥団を
清められた手で掬い上げ
透過する心の底
遥か彼方の源頭に
耳鳴り繁く接続す ....
言葉には年輪がある
うそだと思うなら
誰かがはいた言葉を拾い
輪切りにしてみるといい
どんな言葉にも刻まれている
それまでに経験した悲喜こもごもが
出会いや別 ....
硬い言葉より柔らかい言葉を掘りたい
怖い言葉より優しい言葉と握手したい
たった今昨日を片付けてきたところだ
荘厳に鳴り響く十二の鐘が埋葬する
そして何気なく今日となった明日に袖を通す
....
五本の石柱がたっていた
ねっとりとしたモスグリーンの水に浸され
洪水の街を泳ぐ人達
徘徊していた裸の老女は何処へ行ったのだろう?
目覚めて闇が迫って来る
自分という感覚が死んでいく
....
坂道に
水の流れ
大量に
夜の透明
車は行き交い
飛び込んでいく
人、人、人
君はスマホの
中に居て
綺麗な声で
歌っている
聴いたことのない
異国の歌を
夢見心地で
....
哀しみあるいは悲しみを
膝の上に乗せて
よく眠ってくれるから
ひと時煙をくゆらせるように
ギザギザした鍵を
胸に刺したり抜いたりして
酒と音楽でにじんだ幻を孵したい
ああこの夕暮れが ....
たおやかな
緑の群れ
揺れて
踊る影は
光の万華鏡
私は静かに傾いて
遠くの森のザワメキを聴く
十四歳のある日
ぼくは
あらゆるものが
きっとこのままなのだ、ということに
気がついた
ひとは、ある種の
限られたコミュニテイは
このまま
もう
どこにも
行くことはないの ....
無音の夜
椅子を引くと
机の下から
白い骨壺の
カタカタと鳴る
「寂しいのか」と尋ねると
鳴る音、一際激しく
なり
無音の夜
ますます深く広がる
と、
足許でカタ ....
体を洗い罪を雪げるならば
どんなに楽だろう!
だが罪とはなんだ?
生きるための食うのは罪か
オギャアと生まれたことから罪か
ならば泡と流れるのは
私の全てとなるのだろうか
風呂桶に顔 ....
夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
僕は夜
時々口にする 過去を
一人 同じ 机の上で
思うこともなく 海に
立っている この 部屋で
日がな一日
謎は謎として在り続け
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺動し
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
予感 ....
時間がやって来て通り過ぎていく
その絶え間ない繰り返し
川にたとえられる筈だな
その川の水面に筏浮かべて
放心してた
筏を組んだ木は
川原に打ち上げられて干からびてたもの
水を得 ....
こころは
小雨あとの
路傍の石のように
こころは
鼓動もせず
虹を見てなをふるえず
明後日のほうばかりを
らいごうらいごうと
ずっと眺めてる
終らない話へ ....
いたんだ春を拾っても
もう
あの頃には戻れない
夜風の声をきくたびに
どこかに
自分が立っている
夜に
道行く人の顔、白く浮き上がり
満月
孤独な魂が、彷徨する
道端にぽつぽつと続く黄色い灯り
追いかけて、追いかけて
刹那開かれる永遠に
そっと息継ぐ精霊を みる
....
犬
朝の静けさの中で
犬が吠えている
すべてに届くように
昼のざわめきの中で
犬が吠えている
君だけに届くように
夜のささやきの中で
犬が吠えている
すべてを打ち ....
現と擦れて詩が浮かび
境と接して死が浮かぶ
現も境ももう近しく
それなら詩と死と
しとしと濡れて
行ける処まで生きませう
現と境の溶けるまで
背負った重荷を下ろすまで
背を正すこと、背 ....
例えば
夜中の2時にふと目を覚ます
まだあなたはこの世の片隅で
私と同じように
キラキラ光る端子を避けて
隙間の安寧に息を潜めている
例えば
あの時すれ違った夢の中
....
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