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春を待てば
冬を追いかけることもなくなる
空が白い
雪も
ことばもどこか
白濁するような気がして
ガラスを磨くように
推敲してしまう
幾重にも層ができ
こころの内は形を失う
....
暗い 暗い 夜の淵を歩いていると
君が生きていた頃を思い出す
君は何も話さないで
静かに笑っているだけ
何も考えずに歩みを進めてみる
そのうちに僕は痛みがあることも忘れる
だんだんその ....
自らの意思に反して
もう一人の私が
何処か遠くへ歩いてゆき
おーい、と呼んでも聞こえない
永遠に列車の来ない
線路の上を歩いていたら
地に伸びる私の影が、口を開き
耳傾 ....
感覚は、何かがあることを教えてくれる。
それはその物が何であるのかは伝えないし、
その物にまつわる他のことを伝えてもくれない。
ただ何かがあることのみを知らせるのである。
(C.G.ユング ....
勝者と敗者の間に
三角定規で線を引く
本物と偽物の間に
フリーハンドで線を引く
好きと嫌いの間に
眉間で線を引く
面白いと面白くないの間に
口角で線を引く
瞬きする ....
あのね、正しい空はいつだって
きっと明日は暑いから動けない
たとえば夜からうまれた一瞬ならば
細胞の色にそって
私は彼女を嘘つきだと言う
線上にならぶ
黒いすきまからみえる ....
夜明け前
蒼い空に
身を削る月がいた
誰にも気づかれることのないように
まして獣たちに さとられないように
目覚めた女が背をみせる
静まり返った山森は、眠りについたまま
星をなくした夜空 ....
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