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商工会館が閉鎖された街に
バナナ売りの声が響く
ゼラチン質の船に乗って
目の見えなくなった犬は
遥か遠洋へと向かう
たて笛の隣にある空き地に
僕と彼女は小さな家を建てた
悲しみ、とい ....
 
 
僕は東京にいて、それから
ドラッグストアで 
風邪薬を万引きした 
一度に二錠しか飲めないのに 
間違えて三錠飲んだ 
健康に何かあってはいけないと思い
布団に入り 
ハーモ ....
あなたの育てていたザリガニが
アメリカザリガニが 
また大きくなりました。
時計台の近くで
風は風の音をたてて。
私たちの脱皮とは
いったい何だったのでしょう。
生きることと死ぬ ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
 
 
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った

弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった

毎日、どこかで ....
 
 
妻の眉間のあたりに
凪いだ海がある

うみねこが飛ぶ
貨物船が渡る
風が吹く
少し波立つ

虹、と
妻が指差す

知ってるよ、
海に映ってた
 
 
 
 
蘇鉄の葉が風圧に揺れる
掃討戦が始まっていた

その夏、ぼくはひたすら
素麺を食べ続けたのだった

想像よりも遠くまで
空は広がり

祖父は二度と
祖国に帰らなかった
 ....
 
 
平泳ぎが得意で
早退した
陽の光はまだ幼く
犬の背中も
温かく照らした
国鉄の線路は
歪んだ円を描き
わたしは
父の利き手を
思い出すのだった
その作業と
役割につい ....
 
 
休日のオフィスでひとり
コピーをとってる
何度とり直しても
文字や記号は
羽をはやし逃げてしまうから
白い紙だけが高く積まれていく
明日までに終えなければ、
と思う
明日が ....
 
 
椅子に座ると
海が見える
水平線の向こうでは
犬が笑っている
知らない異国の言葉で

信号が変わり
スクランブル交差点が
背丈の違う人々で
溢れかえる
皆、舗装を痛めな ....
 
 
ウシとウマが
うつ伏せになって
ウサギを見ている、そんな
現という名の
美しくない嘘
右折すると
海が広がっている
うまくいかない遊びみたいに
浮き輪が浮かんでいる
 
 ....
 
 
野原の真ん中で 
朽ちていく木のベッド 
愛されていた人が 
かつて確かにいた 
提灯に火が灯り 
祭りが始まる 
ぼくは歩きだす 
何も聞こえない
 
 
わたしの雨は
昨日すべて
降ってしまいました
あんなにたくさん
両腕に抱えていたのに
傘が眠っています
夜明けの寂しい
コンクリートのように
 

屋根をつくった
もう雨が降っても
濡れなくてすむ

立ったまま目をつぶると
近くや遠くから
夏の音が聞こえてくる
いつもと同じなのに
いつもと同じくらい懐かしい

誰か早 ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
石田とわさんのたもつさんおすすめリスト(45)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
見殺し- たもつ自由詩1113-1-16
東京時効- たもつ自由詩613-1-11
忘却- たもつ自由詩813-1-5
正月- たもつ自由詩2313-1-3
誕生日- たもつ自由詩2312-12-28
- たもつ自由詩612-5-6
その夏- たもつ自由詩212-5-1
利き手- たもつ自由詩612-4-20
背伸び- たもつ自由詩1012-4-18
水平線の犬- たもつ自由詩1012-4-15
うつつ- たもつ自由詩311-12-20
祭り- たもつ自由詩311-12-2
童話(雨)- たもつ自由詩411-9-28
夏の音- たもつ自由詩1008-7-17
醤油- たもつ自由詩9103-7-9

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