すべてのおすすめ
 
 
高い高いをされてる時が
一番高い時だった
何よりも誇らしい時だった
もう僕を持ち上げられない父が
故郷に帰る段取りを心配している
ぶつぶつとうわ言のように
出鱈目な記憶を繋ぎ合 ....
 
 
二人でガラスのコップに入って
誰かが水を入れるのを待っている
窮屈なのが
とても楽しかった
将来何になりたいか
お互いに言い合いっこをした
君は看護師になりたいと言った
僕は ....
君がスクイズバントをする
僕は必死に走って
無人のホームに帰ってくる

振り返ると
一塁線上を走っていたはずの君は
どこにもいない

野球に譬えるとそんな感じだ
見えない君の ....
独りさすらう俺の体を 
降りだした雨が切り刻む 
切り刻まれた俺の体は軽く分裂する 
でも心は切り裂かれないから 
浮いたまま 
雨に打たれても 
俺の心は乾いちまってる 
おまえがいな ....
商工会館が閉鎖された街に
バナナ売りの声が響く
ゼラチン質の船に乗って
目の見えなくなった犬は
遥か遠洋へと向かう
たて笛の隣にある空き地に
僕と彼女は小さな家を建てた
悲しみ、とい ....
 
 
国境線の上に魚が死んでいた
線に沿ってナイフで切ると
両方の国から猫がやって来て
半分ずつ咥えて行った
近くでは国境線を挟んで
男たちがチェスをしている
自分の陣地は真ん中ま ....
あなたの育てていたザリガニが
アメリカザリガニが 
また大きくなりました。
時計台の近くで
風は風の音をたてて。
私たちの脱皮とは
いったい何だったのでしょう。
生きることと死ぬ ....
 
父が釣りをしている
何を釣っているのか聞くと
忘れたと言う
僕も隣に座って糸を垂れる
息子とよくいっしょに釣りに行ったもんだ
という話を皮切りに
父が息子の自慢を始める
小さいころ ....
 
 
家の隣は空港だった
何機もの大型ジェットが
毎日離発着していた
やがて、空港は遠くに移転し
跡地には都会ができた
あの空を飛ぶ飛行機には
手が届かなかったのに
今では窓から手 ....
 
 
最初から、少年も
少女もいなかった
ただ、名前すらない、
願いのようのものが二つ、
風の中で
寄り添っているだけだった
大人ってばかだね
大人ってばかだね
そんなことを
 ....
少年はカブトムシをつかまえた
兄が教えてくれた秘密の場所だった
早く少女に見せたくて走った
その頃、少女は黙祷をしていた
自分の汗が少し臭いと思った
生活というものは量であると
感じ始 ....
 
 
ケント紙の家の中で
リンゴを煮ていると
蟻が集まってきて
椅子の傾きを直してくれる
サーカスのあった夜
話もないのに
冷蔵庫を開けた
 
 ‬
 
 
身体の中に
雨が降る
雨は水になる
集めると
水になる

川の字になって寝る
真ん中は
いつも私だった

結婚し、子どもが産まれ
いつしか右端で
身体を少し曲げなが ....
 
 
霊安室に母が椅子を並べている
「みんな死んだのよ」
いつこの仕事に就いたのだろう
死んだ体を扱うように
丁寧な手つきで並べていく
手伝おうとすると
「いいのよ、毎日、お仕事、 ....
上りのエスカレーターに
幽霊が立っていた
ぼんやりとネクタイを締めて
小さな咳をしていた

駆け上がる人が
春のように
体をすり抜けていった
見えない、
それだけで幽霊だった
 ....
 
 
物、その影は
量となり
嵩となる
影という影は
新たな影をつくり
高く目を瞑ると
擬音語のような
か細い音を立てて
雨が降り始める
わたしは先ず
折り急いだ
紙のこと ....
 
 
豆腐のプラモデルを買った
部品が全部そろっているか確認した
思ったよりもたくさんの部品があった
毎日空いた時間に少しずつ組みたてた
その間に何通かのダイレクトメールと
公共料金の ....
 
 
カザフスタンから来た
優しい女性看護師が
僕の脚をさすりながら
もう痛くないかと聞く
もう痛くないと言うと
良かったと嬉しそうに言う
カザフスタンはどんなところか聞くと
日本 ....
 
港で生きてると
いろんなことがあるよ
と、港の猫は言った

港で生きてないと
いろんなことはないの?
と、僕は聞いた

港以外のところで生きてないから
よくわからない
と、猫 ....
 
 
ウミウシの背丈より 
大きくなった僕の子供が 
草原に立って
外国人になる 

痛みのない蝉が
辞書の中で鳴く
抜け殻でできた橋梁が 
丁寧語で崩落を始める
通訳の人は母 ....
 
 
テーブルの下に
豆腐が落ちていた 
原形がわからないくらいに 
ぐちゃぐちゃに崩れていた 
世を儚んで
飛び降りたのだ
窓を開ける
初夏の風が吹いて
部屋の中を涼しくする
 ....
 
 
夜、ベッドの中で 
妻はいつもより濡れている
ぎゅっと抱きしめると
ぼくの腕の中で 
あっけなく崩れていった 
豆腐だった
水切りが足りないことに
どうして今まで
気づいて ....
喉が渇いたので
醤油を飲んでいたら
目が痛くなった
目薬と間違えて
醤油を差していた
まるで
お寿司のように

空っぽになった
醤油を探して
東京を歩く
薬屋はたくさんあるのに
 ....
 
 
明方の台所で
豆腐がひとり
脱皮をしていた
家の者を起こさなように
静かに皮を脱いでいた

すべてを終えると
皮を丁寧に畳み
生ごみのところに捨て
冷蔵庫に入った

 ....
 
 
炎天下に日傘を差すと 
エイだった(魚の方の) 
図鑑に書いてあるとおり 
危険な棘に注意しながら 
そのまま差して歩く
エイは不機嫌な様子で
時々、乱暴にヒレをばたばたさせる ....
 
 
ぼくの細胞が裸になった
ストリップもないだろう、と
あわてて上着を被せた
細胞は檸檬のように
ゴルジ体を吐き出し
ミトコンドリアを叩き付け
軒下に吊るされた
今日は誰と
話 ....
 
 
野原に自転車が倒れていた
車輪が外れていたので
持っていたアイロンで
直すことにした
うまく直せないでいると
両親と兄がやってきた
みんなアイロンを持っていた
あれこれしてい ....
 
 
ぼくの骨が溶けだして 
飴玉のような
真っ白な塊になる
飴玉だよ、と 
近所の子供にあげると 
骨みたいな味がする 
そう言って無邪気に笑う 
骨の無いぼくは
ぐにゃぐにゃ ....
 
 
妻の眉間のあたりに
凪いだ海がある

うみねこが飛ぶ
貨物船が渡る
風が吹く
少し波立つ

虹、と
妻が指差す

知ってるよ、
海に映ってた
 
 
 
 
二死満塁のピンチだった
ぼくが第一球を投げると
キャッチャーは既に不在だった
家を継ぐために
故郷に帰ったのだ

走者はホームに生還した
その間にバッターは
甲状腺の病気が ....
ただのみきやさんのたもつさんおすすめリスト(114)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
高い高い- たもつ自由詩1213-2-25
将来の夢- たもつ自由詩1113-2-24
ゲームセット- たもつ自由詩513-2-23
独りさすらう- たもつ自由詩813-1-31
見殺し- たもつ自由詩1113-1-16
国境スープ- たもつ自由詩813-1-12
忘却- たもつ自由詩813-1-5
正月- たもつ自由詩2313-1-3
都会図鑑3- たもつ自由詩612-7-24
ボーイ・ミーツ・ガール(もうひとつの)- たもつ自由詩13*12-7-20
ボーイ・ミーツ・ガール- たもつ自由詩14*12-7-9
眠い朝- たもつ自由詩512-6-29
- たもつ自由詩712-6-21
名札- たもつ自由詩812-6-17
幽霊- たもつ自由詩612-6-14
- たもつ自由詩812-6-10
部品- たもつ自由詩1212-6-7
カザフスタンの看護師- たもつ自由詩912-6-3
港の猫- たもつ自由詩812-6-2
草刈り- たもつ自由詩712-5-31
厚揚げ- たもつ自由詩1212-5-28
湯豆腐- たもつ自由詩9*12-5-23
東京- たもつ自由詩512-5-22
冷奴- たもつ自由詩1412-5-21
炎天下- たもつ自由詩612-5-17
檸檬- たもつ自由詩412-5-13
蜜柑- たもつ自由詩1112-5-10
骨飴- たもつ自由詩612-5-8
- たもつ自由詩612-5-6
第一球- たもつ自由詩1112-5-3

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