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板が立てかけられているところに
通りがかって横目で見ていると
いい板だよ と呼び止められて
いい板なら とその気になった
でも板なんか買って
どうするんだろう
黒い油が浮いた板なんか
壁 ....
青信号で立ち止まって
傘に寄りかかる
世界中に散りばめられた人たちは
もう風景の中
私は目を閉じて、深呼吸をして
海面に落ちていく
親切にしてもらったから
ちゃんとお礼が言い ....
沖ノ島二百海里沖での戦闘は熾烈を極めた
連合側が新たに派兵した三人のくじら星人は
わが軍の誇る無敵母船
第七日新丸の砲弾を受けてさえ
倒れることを知らず
さらにはわれらの冷凍工船五隻と
運 ....
二台のロケットが
異なる方向に
まっすぐに飛んでいく
何も無い空間を
お互いに示し合わせて
同じ部品を欠損していた
同様の不具合が
等しく生じますように
やがて一台が壊れて
粉々にな ....
山小屋があって お互いに区別のつかない たくさんの小人が 暮らしているらしい 一つも窓がなくて 丸いテーブルを囲んで おいしいごはんを食べている その時うしろの方で 微かな鳴き声が聞こえて もしかした ....
朝早くから
ショベルカーが稼動し
小人は井戸のところにいた
ちり紙でつくられた椿
丸一日をかけて
取り壊されていく母屋を
いつまでも見ていたい小人に
昼過ぎに雨が降る
小人がかけ足で帰 ....
砂浜に いつの間にか 小屋があって 人形劇の 幕が開いている 夕方 かわいい衣装に包まれた 人形たちが 泣いたり怒ったり でも最後には幸せになる そんな物語が 何度となく 繰り返し上演されて その度に ....
1ミリ2ミリを計るではないが
確かに
傾いていく肩だ
さっき歩いた道はもう充分だし
もう通んなくてイインだヨイインだヨ
リズミカルに弾いてみせて
わたしを追い抜 ....
おだやかに今日も晴れて
廊下を しん と
わたしたちの影がのびていきます
手首を引かれて あなたは
すこし
つまさきで歩いていました
わたしはあなたよりもずいぶん せいが高いから
お ....
彼らは同一のまま
やがて二手に分かれて
一方は家に帰ったけれど
もう一方は宇宙船へ
打ち上げの時を過ぎて程なく
夜の帳がおりるように
明るさは次第に失われていき
一つの照明器具もないまま ....
エンジンのいらない 未来の飛行機が ひんやりとしずかに 旋回している メキシコのような景色の あちらこちらで 牛の化石が見つかり どれもこれも 老衰に違いない 長い時間を生きたのに 石になるまでには ....
たくさんの鳩がいる中で
一羽が死んだと噂が流れて
ことの真偽を確かめるために
あらゆる鳩を捕らえてまわった
けれどここには様々な鳩が
無限にいるのだとわかってからは
ずっと一羽が見つからな ....
適度な勢いで放たれた ミニチュアのダンプカーが 長い走行の果ての夕方 陸の終わりを越える 一万年にもひけをとらない 長い長い減速がもたらされた きわめて水平な 乾燥地帯の終わりに 高い崖があり 崖下に ....
とても大きな水たまりを
陸の存在しない方へ
夢中になって泳いでいく
いつしか亀の姿をかりて
雲がほとんど透き通っていて
青いばかりの視力の中で
規則正しく諳んじられる
無限の ....
河を流れてきた
赤い自動車の
少しずつねじがゆるみ
河口近くで分解して
離散した
たくさんの自動車部品となり
ほど近い海に沈んでいく様子
(行かれるはずのない
遠いところにあこが ....
彼のミツバチが5匹 彼女のミツバチが5匹 知らないミツバチが1匹 紙の容器に入っています でも彼のミツバチの1匹と 彼のミツバチのもう1匹とは じつは同一の個体なので 実際に数えてみると ミツバチは全 ....
丘の上にかつては 養蜂場があったけれど 長い時間に淘汰されて 一対の傾斜だけが残った 永久機関を試したくて 時おり勾配を上っていく かわいた木馬の姿はいつも 同じところで見えなくなるので そこから先が ....
足元を どこまでも 横たわっていく 蛇の体を 持ち上げて 手繰り寄せた 無限に連なる 大小の起伏を 奇跡的に 全部越えて 長い長い 胴体の長さに 終わりを告げる 小さな頭部が やがて見えてくる
亀が永遠にいきていくのを
最後まで世話をしたいと願う
彼はもうすぐしんでしまう
でも×月×日は朝早くから
数えきれないだけのキャベツを剥いた
いつのまにかキャベツは無くなり
気が ....
彼の入れ子から 取り出されていく 三つめの人形は
彼女の 小さな入れ子から 取り出された
二つめの人形と 同じに見える どこまでも水平な
仮の広場で 無限の組み合わせが 見つけられていく
....
とても広い湖の
至るところにブイが浮かび
竹を編んだ丸いものが
そっと押されて岸を離れる
竹を編んだ丸いものから
一つのブイが遠のいていき
またそれ以外のあらゆるブイが
どれも等しく遠の ....
月のかさは見えないけれど
ふかい雲のむこうでは
気象という名が動きそう
雪の端には
小ずるいねずみも
踏んでやろう
テレビ塔では
三尾のきつねが層になる
生きている性質に,進むことを促すような
活動領域がどこかにあって
そこの何かごく小さな信号のようなものが
僕の進むことを前提にともっている,
そんな気がします。
そしてそこでは
誰かと ....
ウルムの大氷期のそのさなか
夜の手触りと、ほのかな曳光に、
うらがえる雪はのぼりゆく
ひかりを帯びていて、
しゃん しゃん、雪が、
ともあれ、このように、考えのまえにすでに、寒さが
....
細倉鉱山は
日暮れにどこかへ通じていく。
無人の坑道の先にあるのは
ほんとうの地名か
親しい人のまぼろしか。
夜,蔵王の山陰に
たよりない記憶はのみこまれ
吹き越す風に
....
{引用=バージェス化石群のうかぶ
地底の暗がりで
水晶の音を聞きながら
ねむっていた
あなたへ
拝啓}
東北本線の夜行便が
山沿いの陸橋をちいさくわたり
けわしく青らむ空の奥 ....
涙する者は
死んだあと
青いかなしみとなって
宇宙遠方の
つめたいの霧のなかを
何かを考えてるふうに 歩き続けます
ひとが何光年もの希薄のなかを
さまようはずは ないです ....
雪が溶けたら
やわらかい地球の黒土花壇に
「火星たんぽぽ」の小さな名札をたてよう
ひとが植えたわけでもないタンポポが
好き勝手に咲いてるような
そんな花壇がいいだろう
そこから芽吹 ....
王子様は来ない。
おたまじゃくしはカエルになるけれど
何度キスしたところで
カエルは王子様にはならない。
眠り姫は絶対に目覚めない。
夢の中で僕は愛されていないから。
シンデレラは ....
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